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先週はコンピューターが壊れてしまって更新ができませんでした。ごめんなさい。
今日こそヴェルサイユ宮殿のプチトリアノン宮殿のお話です。 マリー・アントワネットはオーストリアのハプスブルグ家とフランスのブルボン家の政略結婚のために、 わずか14歳でヴェルサイユ宮殿にやってきます。 自由奔放に育てられおてんばだったマリー・アントワネットは、 フランスの伝統儀式でがんじがらめの生活が窮屈だったといいます。 世継ぎを産むのが仕事なのに、旦那のルイ16世は錠前作りと狩猟と食べること以外に興味はなく、 結婚後7年も子供が産まれませんでした。 ルイ15世が亡くなると若いマリー・アントワネットやルイ16世に実権が移り、 彼女にとってわずらわしい人物や慣習はヴェルサイユ宮殿から姿を消します。 子供が産まれないプレッシャーからか、マリー・アントワネットは賭け事やファッション、仮面舞踏会などにハマっていくんです。 こういったことが「浪費家マリー・アントワネット」というイメージダウンへつながり、 革命時には取り返しのつかないことになってしまいました。 やっと子供ができるのですが、残念ながら女の子。 でも母になったことで責任感が生まれたのか、享楽的な遊びは減り、 当時流行っていた「自然回帰」のナチュラルでシンプルな生活に変化します。 その変化の舞台になったのが、マリー・アントワネットの離宮という見学コース。 外観はすごくシンプルなプチ・トリアノン宮殿 今回ご紹介するプチ・トリアノン宮殿はこの中にあります。 ルイ16世が「君は花が好きだね。僕は君に花束をあげよう、ほら、プチトリアノンだ」と結婚のお祝いにプレゼントしてくれたのだそうです。 実はこの宮殿は2008年に修復されたばかりなんです。 この修復でマリー・アントワネットが使用していた当時とほぼ同じ寝室、家具、使用人の部屋や絵画装飾品が再現されたので、 是非新しくなったプチ・トリアノンまで足をのばしてみてください。 ヴェルサイユの宮殿からは敷地内の公園に向かって右斜め上方向です。 かなり離れていますので、園内を周遊しているプチトランに乗るとラクチンです。 移動距離は1.5キロ、25分かかると書いてありますが、もっとかかるように感じるので覚悟してくださいね。 ここはもともとルイ15世が愛妾ポンパドール夫人のために作らせたのですが、完成を見ぬまま夫人が死去、 その後も彼の次の愛妾デュバリー夫人などが使用していました。 ルイ15世の死後、ルイ16世からマリー・アントワネットにプレゼントされたのです。 プチトリアノンは建てられた時期もロココから新古典主義に変わる移行期で、 外観も内装もマリー・アントワネットの趣味に合ったシンプルですっきりとした新古典主義の様式になっています。 建物は3階建てで上から見ると正方形の形をしています。 この1階(日本式2階)にあるのは控えの間、大食堂、小食堂(ビリアード部屋)、音楽のサロン(マリーアントワネットがお気に入りの友達と過ごしたばしょでもあります)、王妃の寝室。 ヴェルサイユの大宮殿からすると装飾も控えめで部屋も小さく、落ち着いて友達とおしゃべりができそうな親密な空間になっています。 2階(日本式3階)には控えの間、ルイ16世の寝室、書斎、そして他の家族やお客さん用の部屋が用意されています。 残念ながら2階は一般公開されていません。 順路通りに進んで行きましょう。 入り口を入るとすぐ左にお土産屋さん、インフォメーションと続き、ロの字になった中庭に出ます。 すぐ左がチャペル。とってもシンプルです。 その後入場料を払って(インターネットでチケットを買った人はその列をムシして)、いよいよプチトリアノン内部へ。 (チケット売り場の先、左側にお手洗いがあります) ★護衛の間 Salle de Gardes★ 当時はガードマンの棚や簡易ベットやマットレス、毛布なんかが置いてあったそうですが、 今はルイ17世になるはずだったルイ・シャルルが使っていたゆりかごや、 子供の頃のマリー・アントワネットの絵画が飾られています。 この絵画、1765年に彼女の兄、ヨーゼフ2世が結婚した時のウィーンのシェーンブルン宮殿での様子を、10年以上たった後にマリー・アントワネットが描かせたものだそうです。 プチトリアノンの食堂に飾っていました。 暖炉の上の石膏像は、このプチトリアノンを設計したジャック・ガブリエルさんです。 MとAの文字が重なってるの、わかりますか?これがマリー・アントワネットのマークです ★階段広間 Escalier★ 錬鉄に金を施した美しい手すりの階段があります。 この手すりの模様、王家を表す百合の紋章とマリー・アントワネットのマークMAがデザインされています。 その奥は給仕係のためのお部屋が続きます。 銀食器やセーブル焼のお皿を展示してある部屋、食べ物を温めるための部屋Recahuffoirなどです。 この絵を描いた肖像画家は、マリー・アントワネットの表情をとてもよく描くので彼女のお気に入りの画家だったといいます また階段のところに戻って上にあがりましょう。上がったところの壁にメデューサのレリーフがあります。 ★控えの間 Antichambre★ こちらの部屋には、大理石の像がふたつあります。 向かって右がマリー・アントワネットのお兄さんのヨーゼフ2世、左が旦那様で国王のルイ16世です。 置いてあるふたつのテーブルはマリー・アントワネットのもの。鹿の脚になってるのもありますね。 掛けてある絵画ですが、エリザベス・ヴィジェ・ル・ブランという女性画家に描かせた『バラを持つ王妃』。 とても美しく描かれていて、本人も大のお気に入りの絵でした。 ほぼすべての部屋に共通する、薄ーいグリーンと白の壁の飾り(ボワズリーといいます)。 プチ・トリアノンのコンセプトカラーになっています。 モチーフも花と果物で女性らしいボワズリーですよね。 とっても大きな絵画が4枚、この部屋には飾られています。 ★大食堂 Grande salle a manger★ この大きな部屋はルイ15世が食事をした食堂です。 暖炉の上にはセーヴル焼きのマリー・アントワネット像が。 ルイ16世時代のシャンデリアも豪華です。 壁にかかっているのは、『漁』『収穫』『猟』『ブドウの収穫』がテーマになった4枚の絵画。 食堂では食にちなんだ絵画を飾るのが常でした。 ちなみに、この部屋には一瞬で食事を出現させてしまう魔法のテーブルが完成するはずだったのですが、お金がかかりすぎて断念。 0階から食事の乗ったテーブルをここまで持ち上げる機械仕掛けだったのです。 ポンパドール夫人の肖像画と暖炉 ★小食堂 Petite salle a manger★ 大食堂に続くのが、小食堂。マリー・アントワネットはここをビリアード室としても使用しました。 ここにあるテーブルや椅子は、彼女が作った村里(来週ご紹介します)の食堂に置いていたものです。 壁にかかっている絵画はロココの女王とも言われる、ルイ15世の愛妾ポンパドール夫人と、ルイ15世の肖像画です。 ★お供の間 Salon de compagnie★ マリー・アントワネットが仲のいい友達とゲームや音楽を楽しんだ、プチトリアノンのメインとなるお部屋。 ピアノやハープが置かれています。 使われているファブリックは18世紀の国王のお城では常連の、リヨン産3色のダマスクス織り。 肘掛け椅子、碁盤目状のテーブル、ランプ、はマリー・アントワネットのもの。 飾ってある絵画は「変身」がテーマのものです。 とても小さな部屋ですが、愛の殿堂やお庭がきれいに見えるし、くつろげる暖かい雰囲気のファブリックです ★寝室 Chambre a coucher★ ルイ15世の最後の愛妾デュ・バリー夫人と、その後マリー・アントワネットが使用した寝室です。 マリー・アントワネットは家具などを新調し、稲穂をモチーフにしたシンプルで自然をイメージしたものに作り替えています。 ベットは当時のものではありませんが、マリー・アントワネットを彷彿とさせるファブリックが使われています。 マホガニー製の宝箱は彼女のもの。 窓からお庭に作られた「愛の殿堂」が見えますよね。 かなり大きなビリヤード台と王室一家の肖像画のシンプルなお部屋 また階段を下りて出口手前の左の部屋に入ります。 ★ビリヤードの間 Salle de billard★ ルイ15世のビリヤード台があります。マリー・アントワネットはビリヤードの部屋を1階の小食堂に移動しました。 ここにもマリー・アントワネットの石膏像があります。 壁にかかっているのはルイ16世とマリー・アントワネット国王一家の1781年当時の肖像画です。 いかがでしたか? オーストリアでのびのびと育ったマリー・アントワネットが、 誰でも入って来れていつでも人目に晒される儀式ばかりのわずらわしいヴェルサイユ宮殿を離れて 安息を求めたのがここプチ・トリアノン宮殿。 王のルイ16世でさえも、彼女の招待がなければこの宮殿に入ることは許されませんでした。 自分の大好きな友達だけを集めて、音楽を聴いたり、ビリヤードを楽しんだり、お茶をしながらおしゃべりしたり、 親密で心から安心できる時間を過ごしていたのでしょうね。 Château de Versailles 公式サイト(日本語) 住所:Place d'Armes 78000 Versailles 電話 :33 (0) 1 30 83 78 00 最寄り駅:RER C線Versailles-rive-gauche-château下車 開館時間: ヴェルサイユ宮殿 9:00から18:00まで 毎週月曜日休館 プチトリアノンおよびマリーアントワネットの離宮 12:00から18:00まで (基本的に休館日なし) グラントリアノン 12:00から18:00まで (基本的に休館日なし) *冬期営業時間は少し短くなります。サイトでご確認ください。
by paris_musee
| 2009-06-08 00:00
| お城ミュゼ
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