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先週はプチ・トリアノン宮殿をご紹介しましたが、今回はマリー・アントワネットの離宮コースのその他の場所をご紹介します。
★フランス式庭園 Jardin francais★ プチ・トリアノン宮殿のまわりにあるのが、幾何学的に剪定されたお庭。 いろんな花が咲いていて、マリー・アントワネットが大好きだったバラの花も植えられています。 もともとは羊がいたりしたのですが、ルイ15世がフランス式庭園に作り替えさせたのです。 ★パヴィヨン・フランセ Pavillon francais★ フランス式庭園の奥にあるのがこの八角形の建物。 遊びと軽食をとるための建物で、中央にはグリーンと金の装飾が豪華なサロンと、脇に衣装部屋や暖房室などが置かれています。 ★王妃の劇場 Theatre de la Reine★ 建物はまあまあ大きいのですが、見学できる(中には入れません)観客席と舞台は本当に小さくて可愛らしい! 外装、玄関ホールはシンプルですが、ブルーと金のゴージャスな装飾です。 オペラが大好きだったマリー・アントワネットは自らこの舞台に立って、選りすぐりのお友達だけを招待しました。 ここで、プチトリアノンの方まで引き返して、池の方へ進みましょう。 ★岩 Rocher★ 上から水が滴り落ちる構造の大きな岩です。 ★ベルヴェデーレ Belvedere★ 夏に涼むため、音楽鑑賞をするための八角形の、ドームを頂く建物。 池のそばの丘に建てられ、4つの階段にスフィンクス像が置かれています。 中は白と茶色で音楽をテーマにした模様が描かれています。 ★洞窟 Grotte★ ベルヴェデーレを背に左側の茂みの中に入って行くと、Grotteの表示があります。 その突き当たりに小さな洞窟が。 場所が分かりにくい上に、足下もガタガタしているので注意してください。 でも内部はなにもありません。ちょっと拍子抜け? 王妃はあんなドレスを着て、ここにたどり着くことができたのでしょうか?? ★温室 Orangerie★ Grotteを出て少し広い道にでたら左に曲がって直進します。 見えて来た建物がOrangerie。 その周辺はかなり広いお庭になっていて、庭師が住み込みでいろいろな植物の研究をしていたそうです。 ルイ15世の時代、ヴェルサイユでは4000種以上の珍しい植物や野菜、果物を世界各国から集め、世界でもトップクラスの研究機関になっていたそうです。 その植物たちはその後、パリの植物園にも運ばれて研究が続けられています。 ★イギリス式庭園 Jardin anglais★ フランス式庭園が幾何学的に剪定したりして、自然を人工的に形作るのに対し、自然そのままにさまざまな植物を植えるのをイギリス式庭園といいます。 とっても広大なイギリス式庭園(というか野原)があり、向こうの方に茶色い建物が見え隠れしています。 ここにあるのは人工的につくった川や池です。 フランス王妃であるマリー・アントワネットはイギリス式庭園をも「人工的に」形作ったのですね。 さて、子供が産まれてからのマリー・アントワネットは、それまでの浪費癖を改め、ナチュラルでシンプルな生活を始めます。 当時フランスではジャン・ジャック・ルソーという思想家が謳った「自然回帰」が流行っていて、マリー・アントワネットも自然と共存する生活に憧れました。 そして作らせたのが王妃の村里、アモーです。 ★農家 La ferme★ え?ヴェルサイユ宮殿に??と驚いてしまいますが、マリー・アントワネットが作らせた村里には、実際の農民を住まわせた農家があります。 その周りには今でも牛やニワトリ、ガチョウ、クジャク、ブタなどが飼育され、ブドウ畑や野菜畑などがあります。 搾りたての牛乳、生みたての卵、とれたての野菜、ここで収穫された食物がヴェルサイユ宮殿の食卓に上ることも多々あったそう。 今では親子連れの楽しい散歩コースになっています。 ★王妃の村里 Hameau de la Reine★ 池の周りに集まっている藁葺きの建物は、マリー・アントワネットの田舎遊びごっこのために作られたものです。 池に船を浮かべて粉挽き水車が回るのを眺めたり、高台から村里の様子を見下ろしたり、鳩小屋や乳製品を搾乳場もあります。 ビリヤードをする場所、王妃の家、女中の家、護衛の家など、彼女の生活に必要なものも田舎風にしてここに置かれました。 マリー・アントワネットはコルセットをキツくしめたシルクのドレスを脱ぎ捨て、柔らかいモスリンのドレスに麦わら帽子という格好で、この村里でサービスされる新鮮な牛乳を飲んだり、池に浮かべたボートに乗ったりしていたそうです。 彼女の描く理想の田園風景、田舎生活がここにありました。 幼少のころの家族と避暑地に出かけ緑の中をかけずりまわって自然と戯れた懐かしさを、このアモーで感じていたのかもしれません。 でも国民がリアルにこれ以上に貧しい生活を強いられている時に、あえてこのような質素な田舎遊びに莫大な税金を費やしたことは、 いかに彼女たち王侯貴族が世間離れしているかわかりますよね。 この中の家はどれも内部が見学できませんが、200年前の最新のテーマパーク、結構楽しめます。 貴族がこういったニセの村里で疑似田舎生活体験をするのが当時の粋な遊びでした。 中にはみずから農民のような衣装に身を包んで肖像画を描かせた人もいますが、 王妃は農民たちがそういった生活をしているのを外から眺める傍観者どまりだったそうです。 ★愛の殿堂 Temple de l'Amour★ 12本の柱に支えられてドームを頂いたギリシャローマにありそうなクラシカルな建物です。 王妃の寝室から見えたのがこれ。 中央にキューピッド像があるのでこの名が付けられました。 いかがでしたか? 王妃の村里まで歩くと結構な運動になりますが、天気がよかったら是非ハイキングのつもりで回ってみてください。 何もかも与えられて不自由ないはずの王妃ですが、きっと足りないものがあったんでしょうね。 それを埋めるようにプチトリアノンにこもって、お気に入りしか出入りを許さず、田舎遊びに興じていたのかもしれません。 マリー・アントワネットが何を考え、何を感じてこの離宮を作らせたのか、ここを歩いているとなんとなくわかる気がします。 Château de Versailles 公式サイト(日本語) 住所:Place d'Armes 78000 Versailles 電話 :33 (0) 1 30 83 78 00 最寄り駅:RER C線Versailles-rive-gauche-château下車 開館時間: ヴェルサイユ宮殿 9:00から18:00まで 毎週月曜日休館 プチトリアノンおよびマリーアントワネットの離宮 12:00から18:00まで (基本的に休館日なし) グラントリアノン 12:00から18:00まで (基本的に休館日なし) *冬期営業時間は少し短くなります。サイトでご確認ください。
by paris_musee
| 2009-06-15 00:00
| お城ミュゼ
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