パリにあるとっておきミュゼをご案内します
by paris_musee
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さすがは本場、充実のフランス絵画 パート3 ルーヴル美術館 リシュリュウ翼+シュリー翼2e(3階)

<17世紀 フランスのバロック=古典主義>
17世紀はヨーロッパ中でバロック旋風が吹き荒れた時代でした。
明暗対比に劇的な一瞬を、フツーの風景の中にとけ込ませるのが特徴です。

シモン・ヴーエというフランス人が帰国した1627年が、フランス絵画の転向の年と言われています。
すごいですね、生まれ故郷に戻って来ただけで、絵画史が変わってしまうんですよ。
彼はローマやヴェネツィアでカラヴァジスムを学んでいたんですが、ルイ13世に呼ばれて王の首席画家となります。
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『神殿への奉献』というこの作品は、ルイ13世の宰相リシュリューに頼まれてパリの教会に奉納された作品。
バロックまっただ中の時代の、カラヴァッジオに影響を受けた画家の作品です。
うーん、でもかなりカラフルで、背景の建物が水平線と垂直線を作っていて落ち着いた雰囲気をもたらしていますよね。
これがドラマチックなバロックと言われるとちょっと違う。
明るい色彩はヴェネツィアの作家の特徴とも言われていて、ヴーエもヴェネツィアにいたのでそれに影響されたのでしょう。
背景もギリシャ風の柱なんかがあって古代建築ですよね。
古代建築に遠近法、人間のプロポーションも理想的!
しいて言えば、イタリアの盛期ルネサンスみたいじゃないでしょうか。

そう、フランスは盛期ルネサンスを飛び越えてマニエリスムを取り入れてしまったので、こういう古典主義風な作風が新鮮だったんです。
17世紀のフランスはバロックというより盛期ルネサンスに近いのです。
でも前の時代に後戻りした、というわけではなく、バロックの別解釈で「古典主義」がクローズアップされたと言う方が正しいようです。
ルーヴルの解説パネル(かなーり専門的な解説をした日本語パネルがあるんですよ。私も勉強させていただいています)にも「古典主義」というカテゴリーが使われています。

では17世紀フランスの「古典主義」の代表作家をご紹介しましょう。
なにはなくとも、ニコラ・プッサン。
「フランスの」と言っておいて、彼は24歳のときにイタリアに行ったっきり、ルイ13世に呼ばれて滞在した2年間を除いて死ぬまでローマで過ごしていました。
彼もすごいですよね、ほとんどイタリア人になっちゃってるのに、忘れられるどころかフランス絵画の代表作家。

彼が得意としたテーマは古代の歴史や神話、旧約聖書などです。
やっぱりヴェネツィアの画家のティツィアーノやヴェロネーゼに影響を受けたので、明るい色使いです。
ルーヴルにはかなりプッサンの作品があるんですが、どれも黄色、青、赤のギリシャ風衣装で、古代建築が描かれています。
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私の好きな作品は『ソロモンの審判』
あるところに赤ちゃんが2人生まれます。でも1人はすぐに死んでしまいました。
2人の母親は、残った赤ちゃんの本当の母親は私だと言い張ります。
2人はソロモンの前に行って、本当の母親はどちらか決めてもらうことにしました。
ソロモンは刀を取り出し、赤ちゃんを2つに切り裂いて2人にわけようとします。
母親のひとりは、あの女にあげてもいいから赤ちゃんを殺さないで!と叫びます。
もうひとりは、殺してしまえ!と叫びます。
こうして本当の母親がわかった、という旧約聖書のお話。
左奥の男が、いままさに宙づりにした赤ちゃんを切り裂こうとしています。
左の女性がやめてと叫び、ぐったりとした赤ちゃんを抱いた右の女性は恐ろしい顔をしてやってしまえ!と怒鳴っている場面ですね。
ドラマチックな場面ですが、水平垂直の建築物を入れて落ち着いた構図にしています。

この先に円形のお部屋(展示室16)があって、4枚の作品が展示されています。
これもプッサンの『四季』という作品。死の1年前に描かれた最後の完成作品だそうです。
春夏秋冬を1枚ずつ描いているんですよ。
どれがどの季節かわかりますか?
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春は裸の男女が森の中にいる作品。アダムとイブの場面です。時間は早朝。
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夏はみんなが収穫をしている作品。ルツとボアズの場面(あまり有名ではないですが)。時間は太陽が真上から照りつける正午。
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秋は大きなブドウを運んでいる作品。カナンの葡萄の場面。夕暮れ時です。
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冬は洪水の作品。ノアの大洪水の場面で、黄昏時。
これらはリシュリューに依頼されて制作しましたが、球戯をして王に負けてしまったので、のちにルイ14世のコレクションになります。

このニコラ・プッサン、その後のアーティストにどのように見られていたのでしょうか。
「古典主義」の巨匠だったことをふまえると、
同時代のリュベンスやヴェネツィア派からは不人気、
18世紀のロココの画家ブーシェやフラゴナールからも支持されず、
19世紀の新古典主義のダヴィットやアングルからは絶大な人気でしたが、
ロマン主義の画家からの評価は低く(でもドラクロアは絶賛)、
19世紀末の印象派のセザンヌやドガのお手本となり、
20世紀にはピカソなどのキュビズムや抽象表現主義の画家にも人気でした。
プッサンとピカソの共通点なんてあまり思いつきませんが、こんな風に画家たちは過去の作品を参考にしたり反発したりして、自分たちの思想と混ぜながら新しい画風を作っていくんですね。

まだまだ先は長いのに、モタモタしてしまいました。
来週は「静物画の見方」についてお話ししたいと思います。


住所   rue de Rivoli 75001(正式な住所はMusée du Louvre。メトロを出たらすぐわかると思います)
メトロ  1番線、7番線 Palais Royal-Musée du Louvre
開館時間 水曜日から月曜日 9時から18時(水曜日と金曜日は22時まで)
チケット 常設展とドラクロワ美術館 9ユーロ (水曜日と金曜日の18時から6ユーロ)
ナポレオンホールの企画展のみ 9.5ユーロ
常設展と企画展 13ユーロ (水曜日と金曜日の18時から11ユーロ)
毎月第1日曜日は入場無料
日本語公式サイト


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by paris_musee | 2009-08-03 00:00 | 有名ミュゼ
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