パリにあるとっておきミュゼをご案内します
by paris_musee
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<誤解されるマリー? musée des arts décoratifs>

今日はちょっと細かい様式のお話しになります。

日本でもっとも有名なフランスのお姫様と言えば、マリー・アントワネットですよね。
ソフィア・コッポラの映画『マリー・アントワネット』でも、おしゃれが好きでエピキュリアンなティーンエイジャーとして描かれていました。
そんな浪費家のイメージが強いせいか、マリー・アントワネット=ロココの王妃という印象がありますが、厳密にいうとロココ時代とマリーの生きていた時代はちょっとズレがあります。

ロココは1730年代、好色家のルイ15世の愛人だったポンパドゥール夫人が好んだ、曲線とアシンメトリーを多用した軽妙洒脱なデコラティブなスタイルです。
ルイ14世が愛した荘重なバロック様式が男性的だったのに対し、ロココ様式は女性的でちょっと享楽的な雰囲気がありました。
例えば机や椅子の脚がクルリと丸くなっているのが猫脚と呼ばれる、ロココの特徴のひとつであったりします。
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ロココは椅子の脚だけじゃなく全体的に丸みを帯びています。

ではマリー・アントワネットの愛したスタイルは何と呼ばれるのか。ルイ16世様式とか新古典主義とか言われます。
1775年あたりから、ポンパドゥール夫人が好んだロココはちょっぴり時代遅れとなり、華奢だけれど直線や幾何学模様を多用したスタイルをマリー・アントワネットは好みました。
ポンパドゥール夫人の死後与えられたプチトリアノン宮殿(ヴェルサイユ宮殿の離れです。ここも最近改装工事が済んでリニューアルされました)では、流行遅れでダサいロココの家具を全部一掃してマリー好みの新古典主義に大幅改装されたほどです。
ギリシャ、ローマの古典をモチーフにし、猫脚はだんだん姿を消して、ギリシャ建築の柱を思わせる溝の入った円柱が家具の脚に多用されました。
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こちらの脚は直線的で先が細くなっており、縦に溝が入っています。

装飾美術館の階段を上がると4階はロココ時代のかわいらしくも華美な装飾のソファやコモードの展示室になります。
そして次の部屋にマリーの時代の家具が展示されています。
この2つの部屋を比べると、後者は本当に質素にうつります。
それが、浪費家でフランス王宮を破滅させたと言われているマリーが愛した様式であるのが皮肉ですよね。
実際にはポンパドゥール夫人の時代にはフランス経済はすでに破綻していて、不幸にもマリー・アントワネットとルイ16世が全ての責任をとった、というところでしょうか。
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ちょっと極端な対比ですが、ゴテゴテしてるのがロココ時代の家具、スッキリしているのがルイ16世時代の家具。

ちなみに、いろいろな本を読むと、ちまたの悪いイメージとは裏腹に潔く竹を割ったような性格のマリーが描かれているものが多いのに気づきます。
ルイ16世に寵愛を持たせなかったこと、7年の長きに渡って子供ができなかったこと(このストレスで浪費に走ったと見るむきもあります)もあり母となってからは浪費はピタっとやめて子育てに専念したこと、そして息子虐待の濡れ衣を着せられた最後の裁判での母としての勇ましい姿など、今までのイメージを覆す逸話がたくさんでてくるのです。

こういう話をあわせて華美な装飾のないシンプルな新古典主義の部屋を見ると、誤解の多いマリー・アントワネットの本当の姿が目に浮かんで来るかもしれません。
私も自分が暮らすのならロココよりルイ16世様式の方がシンプルで好きかな。
というわけで、これからはマリー・アントワネット=新古典主義でお願いします。


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by paris_musee | 2008-10-27 00:00 | テーマミュゼ
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