パリにあるとっておきミュゼをご案内します
by paris_musee
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カテゴリ:企画展( 2 )
現代美術の展覧会? 北野 武/ビートたけし「Gosse de peintre - 絵描き小僧」展 カルティエ現代美術財団
先週、北野武監督の『アキレスと亀』について触れましたが、今回はカルティエ美術館でやっている彼の展覧会の報告です。
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雨が降ったりやんだりの曇り空の中、外にまで列ができるほど大盛況でした
パリの左岸、ラスパイユ通りの南に建築家ジャン・ヌーベルがつくったガラス張りの建物が突如表れます。5区のアラブ研究所や、エッフェル塔のすぐそばのケ・ブランリー美術館をつくった有名な建築家の作品です。
企業が経済的なバックアップで芸術活動を支援することを「メセナ」と言うのですが、宝飾ブランドのカルティエ財団はメセナ活動を80年代の早い時期から積極的に行って来た企業です。日本では、例えばサントリーのサントリーホール(コンサートホール)や東急のbunkamura(文化複合施設)、下着の会社ワコールの青山のスパイラルホール(多目的ホール)などなど90年代以降にメセナ活動に力をいれる企業が増えました。
1984年にパリ郊外にできたカルティエ財団による施設は、企業がただ経済的支援をするから何かアートの展覧会をしなさいという一方通行ではなく、開かれたアートの交流の場として展示はもちろん、アトリエやアーティストが泊まりながら作品作りができるような場として始まり、当時は無名でも今ではとても有名になったアーティストたちとともに成長してきました。1994年に現在の場所に移動し、刺激的な展覧会を開催し続けています。
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晴れているとガラス張りの建物からお庭の緑が見えて素敵ですよ
そして特筆すべきなのは、私が日本人だからただ印象に残ってるだけなのかもしれませんが、かなりの日本人作家の個展をやってきたことです。私が知っているだけでも、村上隆、三宅一生、写真家の森山大道、荒木経惟、横尾忠則などなど。日本の現代美術をフランスに積極的にアピールしてくれる、日本人には嬉しい存在だと思います。実際に昔からフランスインテリ層には日本の文化に触れたいという需要がありますので、逆にフランス人にとっても浮世絵だけじゃない「今の日本」に触れられる格好の美術館なのです。
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ということで、現在展示中なのが北野武の『Gosse de peintre』展。画家の子供(gosseはenfantの俗語ですね)という意味ですが、アーティスト本人のことを言っているなら『ペンキ屋のガキ』というのもいいかもしれません。『絵描き小僧』というのが日本語タイトルのようですね。映画監督のデビットリンチ展などを手がけたキュレーター(学芸員)が、5年前から打診して去年展覧会を行う契約をとりつけ準備して来たのだそうです。
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外からクローズアップして作品を撮ってみました
映画『アキレスと亀』にもたくさん出てきますが(映画のは彼が描いたかどうかはわかりません)、彼の作品はヘタウマなものが多いです。子供が描いたようなナイーブさと大胆さが特徴ですね。色彩も原色が多用してあって単純明快、テクニック的には高度なものではありません。
本人もインタビューなどで言っていますが、もともと「画家」ではありませんので、格好つけていかにもアートっぽい難解な絵でごまかすこともできたけど、あえて自分が普段描いているような作品で直球勝負をした、のだそうです。
映画もそうでしたが、アート畑にいない部外者(北野武本人)がアートを挑発するようなやり口は、なんとも残酷というかブラックユーモアだと思います。そして、「画家じゃない人の絵を美術館で観る」ということを通して、あらためてアートを考えるいい機会になるのではないでしょうか。そういう確信的な問題提起がカルティエ美術館の狙いのひとつだったような気がします。
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「現代美術って何?」「どうしてこれがアートなの?」という人は多いと思いますが、そんな壮大なことを小難しく考えようとせずに、単純に目の前の作品が好きか嫌いか、その理由などを自問自答するだけでも立派な美術鑑賞だと思います。
さらにすすんで「この作家は何を言いたかったんだろう」「なんでこんなことをしているんだろう」と考えていくと、現代美術の存在意義の片鱗が見えて来るかもしれません。
ちょっと言葉が悪いかもしれませんが、作品はどんなものでもいいのです。それが昨日スーパーで買ったクッキーでも、3年かけて描いた油絵でも。ただ作家が「現代美術」という場にそれを持ってくることによって、何を言いたかったのかが一番重要なのだと思います。クッキーは現代の飽食の時代の子供への警鐘かもしれないし、油絵は現代におけるアナログなアート制度を皮肉っているのかもしれません。
とにかく、現代美術には、「最後の晩餐でお金の袋を持っているのが裏切り者のユダ」というようなきまりはありませんので、作家も自由に表現できますし、鑑賞者だって自由に考えることができるのです。ヘタにわかろうとして拒絶反応を起こしたりせずに、素直に思うことを大切にしていけばいいのだと思います。

企画展示なので外からの写真撮影しかできませんでしたが、いかがだったでしょうか。
パリ旅行の合間に現代美術の展覧会も面白いと思います。
他の有名美術館に比べたらとっても小さいく、1階と地下1階の2フロアだけですが、ガラス張りで小さなお庭に囲まれて、天気のいい日にちょっとアートに触れたい、なんてときにはぴったりです。
企画展示がメインで、毎年3〜5本くらいの展示をしているようです。興味があったら是非カルティエ美術館へ足を運んでみてくださいね。


カルティエ現代美術財団
住所:261, boulevard Raspail 75014 Paris
tel:+33(0)1 42 18 56 50
メトロ:4番線 RaspailかDenfert-Rochereau
開館時間:11:00〜20:00 火曜日は22:00まで 月曜定休
入館料:7,5ユーロ 学生や25歳以下は5ユーロ、18歳以下は無料

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by paris_musee | 2010-03-29 00:00 | 企画展
<サロンのすすめ Paris Photo -Carrousel du Louvre->

ルーヴル美術館のお話をしようと思っていましたが、今日はちょっと一休みしてサロンのお話です。

パリやパリ近郊には大人数が収容できる大きなスペースがあって、一年を通してたくさんのサロンが行われています。ここで言うサロンとは見本市や展示会のことです。

例えばパリコレクションの行われる3月と10月の前後には、一般人は入れませんが布の見本市や各ブランドの展示会が行われ、次のシーズンの商品をバイヤーが注文しに世界中から訪れます。
この手の業者向け見本市には、インテリア雑貨から食品、ゲーム、音楽などありとあらゆるものがあります。

また入場料を払えば一般人も入れるチョコレートの見本市サロン・ド・ショコラ(これは日本にも巡回しますね)や、本物の牛やトラクターもお目見えする大規模な農業見本市では、店舗数が少ないまだ無名のお店がスタンドを出していたり、珍しい商品を見せてくれたり、新商品を試食をさせてくれたり、説明を聞きながら商品を買うことができたりします。

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オープンする前の入り口。画面右側にはもう10m以上も列ができています。
先週はParis Photo という写真のサロンが、ルーヴル美術館と同じ建物内にあるCarrousel du Louvreというスペースで行われていました。

世界中から写真作品を扱うギャラリーや出版社が集まり、また世界中からコレクターや美術・写真関係者、写真愛好家が作品を観に来ます。
一般の人も入場料15ユーロを払えば入ることができます。連日朝早くから列ができるほどの人出でした。
というのも世界中の写真作品を一度に観ることができるので、写真好きの人にとっては絶好のチャンスなのです。4日間限定ですが美術館で行われる企画展のようなものですね。

ただ美術館と違うのは、作品を実際に購入できること。
別に写真に詳しくなくても、理由はないけど一目惚れで衝動買い!でもいいのです。
部屋のカーテンの柄を決めるように、今日着ていきたい洋服を選ぶように、写真作品を購入する人はいっぱいいます。

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ある有名写真家のサイン会に並ぶ熱烈な写真愛好家!?
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お目当ての写真家はウィリアム・クラインさんでした。1時間半待ちだったそうです。

またサイン会が企画されていれば、大好きな写真家と話をしたり、サインをもらったりもできるのもサロンの醍醐味ですね。
若手写真家のまだ手の届く値段の作品を買って写真の価値があがるのを待ったり、探し求めていた好きな作家の作品を偶然見つけることができたり、サイン付きの写真集を買ったり、出展者や写真家本人にいろいろ質問したり、講演会や上映会などのイベントも行われたりと、ここでは写真に関するありとあらゆる欲望を満足させることができます。
ここは写真(美術)がすごく身近に楽しく感じられる場所なのです。

今年はたまたま「日本」をクローズアップしていたので、日本のギャラリーや出版社が一同に会しました。
これまで一部の超有名写真家以外は、ヨーロッパ人にとってなかなか作品を知る機会のない日本の写真でしたが、今年はたくさんの写真家が実際に来仏していて、日本のブースはどこも大盛況でした。

残念ながら今年のParis Photoはもう終わってしまいました。
でも写真のサロンは毎年11月にCarrousel du Louvreで行われ(来年は11月19日から22日を予定)、近代・現代美術のサロンFIACも毎年10月頃行われています(来年は10月22日から25日を予定)。

私も鑑賞するだけの美術しか知りませんでしたが、ビジネスとしての美術市場を垣間みていっそう面白さを感じるようになりました。
こういうサロンで展示された作品を美術館が買い上げて常設展示しているというのはよくある話なのです。
大金持ちじゃなくても、ちょっと部屋のインテリアを華やかにするために作品を買う光景は、ヨーロッパでは珍しいことではありません。
美術館の常設展を観るのも楽しいですが、美術がビジネスと交差している現場で「売れ筋」の作品の傾向を探れるという、変わった美術鑑賞ができると思います。

もしパリ滞在中に一般人でも入れる興味深いサロンがあったら是非足を運んでみてください。

今後もミュゼだけにこだわらず、広い意味でのアートを鑑賞できる場所やイベントもお知らせしていきたいと思います。

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by paris_musee | 2008-11-17 00:00 | 企画展