パリにあるとっておきミュゼをご案内します
by paris_musee
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31
カテゴリ
有名ミュゼ
お城ミュゼ
邸宅ミュゼ
テーマミュゼ
企画展
ミュゼ以外の歴史的建造物
その他
以前の記事
2010年 04月
2010年 03月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
検索
タグ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
<   2009年 08月 ( 4 )   > この月の画像一覧
さすがは本場、充実のフランス絵画 パート6 ルーヴル美術館 リシュリュウ翼+シュリー翼2e(3階)

まだまだルーヴル美術館は続きます。

先週はルイ14世時代の絵画についてお話ししましたので、次はルイ15世に行きましょう。
絶対王政のフランスがルイ14世によって確立すると、「2代目」は攻めでなくて守りの体制に入ります。
絢爛豪華、荘厳華麗なアートは好まれず、軽妙洒脱、優美繊細なアートが流行ります。
前者に比べて格段に「女性的な」ものが多いんです。
この時代のアートを総称してロココ様式と呼んだりします。
f0197072_2133452.jpg

これがポンパドール夫人。パステルで描かれているので、よりいっそう柔らかな表現になっています。ちなみに日本のパン屋さんで「ポンパドウル」という名前のお店がありますよね。実はポンパドール夫人の優雅なイメージを「おもいきり高級で優雅な欧風ベーカリー」というコンセプトに重ね合わせた命名なんだそうです。ロゴマークにも彼女のお顔が使われているのでチェックしてみてください
ちなみにポンパドール夫人という好色家ルイ15世のお妾がいるのですが、彼女がこのロココ様式の牽引者。
現在のセーヴル磁器工場は彼女によって設立され、サロンを主催しては芸術家を庇護しロココ様式の発展に貢献しました。
愛人ではありましたが、彼女なくしては語れないほどルイ15世に影響を与えた人物なのです。

ロココ様式、家具ですと植物や貝などのモチーフが好まれ、曲線を多用してアシンメトリーな細かい装飾が増えます。
絵画ではキューピッドが空を舞う、植物や花に囲まれた愛をテーマにしたテーマを、パステルカラーでふんわりと描いたものが登場します。
f0197072_21332477.jpg

この作品の細かい部分をクローズアップした画像で見ることが多かったからか、実物は案外小さくて驚きました。こういう驚きもホンモノを見るときの醍醐味ですよね
有名な作品はアントワーヌ・ヴァトーによる『シテール島への巡礼』。
たくさんのカップルが描かれているのですが、同一人物をコマ送りにした絵画と見ることもできます。
木々が生い茂る画面右に座って愛を語り合う男女がいます。
左に行くに従って、2人は立ち上がり、未練があるかのように振り返り、
キューピッドたちに祝福されながら小舟に乗って光輝く水平線のむこうにある愛の島シテール島へ出航するという場面です。
彼は37歳で夭折しましたが、ロココ様式の絵画の幕開けを担った有名な画家です。
f0197072_2135660.jpg

光がちょうど当たる配置だったので、上手に撮影できませんでした。でも生き生きとした肌の感じはおわかりになるでしょうか
フランソワ・ブーシェ『水浴のディアナ』
ローマ神話の多産や狩猟、純潔の象徴であるディアナが女性の精霊ニンフとともに水浴している場面です。
なんとも優美で官能的な裸体表現ですよね。輝くみずみずしい肌の描き方も特徴的です。
実は印象派のルノワールもせっせとここに通いつめて模写をしたんだそうです。
ルノワールの官能的な裸体表現のモトはここにあったのかもしれません。
ちなみにブーシェはポンパドール夫人の寵愛を受け、晩年は首席画家として活躍しました。
f0197072_2136256.jpg

こちらの作品は自画像です。wikipedia Franceからお借りしました
ロココ様式の最後期を飾ったのがジャン・オノレ・フラゴナール。
ブーシェに学んだ画家です。
彼はフランス革命後もルーヴル美術館の作品管理の仕事に就くなど、芸術とともに生きた人物なのですが、
後半は絵をほとんど描くこともなく(フランス革命による政変とも関係がありますが)、
画家としての名声は忘れ去られひっそりとこの世を去りました。
この人の特徴は速筆。近くで作品を見ると荒い筆致で描かれているんです。
その速筆が画面に軽さや空気感をもたらしているんですね。
あえてアカデミーにはどっぷり浸からず貴族などをパトロンにして生活をしていたので、
彼らの肖像画がたくさんルーヴルでご覧頂けます。
表情の高貴さや愛らしさ、ものごしの優美さなどはロココの時代精神を表しています。

いかがでしたか?
18世紀前半の安定したブルボン王朝の文化的成熟を背景にした、うっとりとするような繊細優美なロココ絵画。
ルイ15世の政治が終わるとまた絵画様式も変化します。


住所   rue de Rivoli 75001(正式な住所はMusée du Louvre。メトロを出たらすぐわかると思います)
メトロ  1番線、7番線 Palais Royal-Musée du Louvre
開館時間 水曜日から月曜日 9時から18時(水曜日と金曜日は22時まで)
チケット 常設展とドラクロワ美術館 9ユーロ (水曜日と金曜日の18時から6ユーロ)
ナポレオンホールの企画展のみ 9.5ユーロ
常設展と企画展 13ユーロ (水曜日と金曜日の18時から11ユーロ)
毎月第1日曜日は入場無料
日本語公式サイト


[PR]
by paris_musee | 2009-08-31 00:00 | 有名ミュゼ
さすがは本場、充実のフランス絵画 パート5 ルーヴル美術館 リシュリュウ翼+シュリー翼2e(3階)


今回はフランス絶対王政の最盛期の絵画についてお話ししたいと思います。
ときは17世紀中頃から18世紀はじめ、舞台はヴェルサイユ宮殿、主人公はルイ14世です。
とにかくルイ14世は絶対的な権力を手にし、国土を広げ、フランスをヨーロッパの強国にしました。
そんな彼を太陽王と呼んだり、ギリシャ神話における全知全能の神ゼウスの息子アポロンになぞらえたりしています。
ヴェルサイユ宮殿もものすごく広大でありながら、それをルイ14世中心に機能させる建築物の配置や細かな儀式がとりきめられたりしています。

ヴェルサイユのイメージをどこかでご覧になった方は何となく雰囲気がわかるかと思いますが、
この時期のアートの特徴は「絢爛豪華」のひとことで言い表すことができます。
威厳を表すことのできる雄々しいモチーフ(太陽、獅子、アポロン、武器)を使ったり、金色を多用したり、絵画や彫刻ならばとても大きいものが好まれました。
パっと見たときに「おぉ!」と驚いたり、「強そう!」と感じるものが多いですね。
f0197072_21245154.jpg

シャルル・ルブランのお部屋。手前にいる外人さんと比べてもとーっても大きいことがわかると思います
さて、ルーヴル美術館にあるルイ14世時代の絵画の代表と言えば、シャルル・ルブランのものでしょうか。
ルイ14世のライバルだったニコラ・フーケのヴォー・ル・ヴィコント城の装飾も手がけています。
ルイ14世が即位すると首席画家として活躍します。
ヴェルサイユ宮殿の有名な鏡の間の天井画も彼のものなんですよ。

f0197072_21231359.jpg

こちら一番小さな『アレクサンドロス大王の勝利』
ルーヴルの大きな展示室には彼の作品が4点あります。
『アルベラの戦い』『アレクサンドロス大王とポロス』『グラニコス川の渡り』『アレクサンドロス大王の勝利』
タイトルを見ても戦争がモチーフになっていると予想できますよね。
最後の『アレクサンドロス大王の勝利』が約4.5mx7mの画面ですが、他の3つは約5mx12mの大きさの画面です。
面積にすると私の家より大きいです!
描かれている兵士や馬も実物よりもずっと大きく、近づいてみると精密には描かれていないんですが、とにかくダイナミックですごい迫力なんです。

この画家シャルル・ルブランは相当ルイ14世に気に入られていたようで、
絵画・彫刻アカデミーの総裁、王立ゴブラン織製作所の監督など
王の芸術に関する役職は独り占め状態だったらしいです。

f0197072_21233571.jpg

画家のリゴーの名前はそんなに有名じゃないけれど、ルイ14世といえばいつも彼の描いたこの威風堂々とした肖像が使われています
もうひとつご紹介したい作品があります。
肖像画家ヤッサント・リゴーの『ルイ14世の肖像』。
即位してから60年くらい経った頃の肖像なのでかなり年をとっているのですが、それだけに王の威厳はバッチリと描かれています。
世界史の教科書で使われている肖像も彼の作品だったので、ご存知の方も多いかと思います。

フランスのおもちゃ屋さんに行くと、動物や恐竜、騎士や貴族などの10cmくらいのミニチュア人形がたくさん売っています。
子供やマニアの大人向けの人形なのですが、その中にリゴーのルイ14世がいるんです。
大量生産なのでできの悪いものもありますが、見つけたときはちょっと嬉しい気分になりました。
おもちゃ屋さんだけでなく美術館のおみやげコーナーにもあったりするので、欲しい方は探してみてください。


住所   rue de Rivoli 75001(正式な住所はMusée du Louvre。メトロを出たらすぐわかると思います)
メトロ  1番線、7番線 Palais Royal-Musée du Louvre
開館時間 水曜日から月曜日 9時から18時(水曜日と金曜日は22時まで)
チケット 常設展とドラクロワ美術館 9ユーロ (水曜日と金曜日の18時から6ユーロ)
ナポレオンホールの企画展のみ 9.5ユーロ
常設展と企画展 13ユーロ (水曜日と金曜日の18時から11ユーロ)
毎月第1日曜日は入場無料
日本語公式サイト


[PR]
by paris_musee | 2009-08-24 00:00 | 有名ミュゼ
さすがは本場、充実のフランス絵画 パート4 ルーヴル美術館 リシュリュウ翼+シュリー翼2e(3階)
皆様、夏休みはいかがおすごしでしょうか。
先週は勝手ながらお休みを頂きました。
今週もまたルーヴル美術館のフランス絵画の続きをお送りします。

f0197072_23403576.jpg
外からの光が強くてななめからの写真になってしまいました...
こういう作品、ご覧になったことがありますか?
私は学生時代の美術の時間に、やたらとしわをよせた布の上のワインのボトルやフランスパン、レモンや本を描かされた記憶があります。
布のやわらかいしわやガラス瓶の光沢、その他のモチーフの質感の違いがなかなか描けなくて、とても苦労しました。
こういう静物画を見ると、やっぱり画家は上手なんだなーと当たり前ながら感心してしまいます。
きっと画家にとって、ガラスの透明感や植物のみずみずしさ、布の柔らかい質感、紙のペラペラした質感なんか、まさに画家の技量を存分に発揮できるモチーフだったんでしょうね。

だからといって、「ホラ、上手だろうー!」と自己満足に浸るためにこういう絵を描いたんじゃないんですよね。
17世紀頃になると、教会や王様だけでなく、お金持ちになった市民も画家に絵を依頼するようになります。
彼らの家は教会や宮殿なんかに比べたらとても小さいので、作品のサイズも小さくなるし、あまり仰々しい宗教画よりはインテリアの邪魔にならないような風景画や静物画が好まれるんです。
オランダをはじめ、17世紀にはガーデニングも流行り、自然に対する関心も高くなってくるのに関係があるのかもしれません。
フランスは他の国から遅れて静物画というジャンルが成立しました。
フランス人の静物画家としては、この『チェス盤のある静物』を描いたリュバン・ボージャンが第一人者と見なされています。
f0197072_23403576.jpg

もう一度じっくり観てみましょう
さて、この絵に描かれているものを見てみましょう。
まず右奥にあるのが八角形の鏡、でも何も映っていません。
手前に半分に折ったチェス盤があって、手前にはトランプ、ベロアのお財布、リュート(弦楽器)、楽譜。
奥にはグラスに注がれたワインとパン。
そして画面中央にカーネーションを挿した水の入った透明の花瓶が描かれています。

材質は木、ベロア、紙、水、植物、パン、ガラスですね。
質感もバッチリ描き分けられています。

こういう静物画はだいたい「五感」が描かれています。
視覚ー鏡
聴覚ーリュート
触覚ーお財布、チェス盤、トランプ
味覚ーパン、ワイン
嗅覚ーカーネーション
こちらも完璧。

そして、静物画なのにちょっと宗教的というか、教訓めいたことが暗に示されているんですよ。
パンとワインはキリストの肉と血を表していますし、
お財布やチェス、トランプは賭け事、つまり享楽や人間の堕落を表します。
ギターは恋の企みに使われますし、花ははかなさの象徴です。
希望を映し出すはずの鏡が真っ暗なので、これもいずれ死を迎えるという示唆です。
全部ひっくるめると、人間の営みには限りがあるんだから、賭け事や恋愛といった快楽にばかりうつつを抜かして堕落せずに、信仰心を持って生きなさいということでしょうか。
f0197072_2340572.jpg

ジャック・リナールのこちらの静物画は何が描かれているでしょうか?
静物画じゃなくてもこういうモチーフはよく出てくるんですが、他には、
本、科学や数学の道具は知のはかなさを、硬貨、宝石、武器、王冠は富や権力のはかなさを、そしてタバコやお酒、楽器やゲームは享楽のはかなさを表します。
骸骨や時計、砂時計、ろうそくの火、花は人生のはかなさを、麦の穂や月桂樹は永遠の生の復活のシンボルだったりします。
静物画でもとりわけヴァニテと細かいジャンル分けをしたりもします。ヴァニテとは「むなしさ」のことです。
f0197072_23412520.jpg

こちらのジョルジュ・ドゥ・ラ・トゥールの『マグダラのマリア』もこの原則が生きています。骸骨=避けられない運命(死) 鏡=人間のはかなさ 炎=使い果たされてしまう時間を象徴。ちなみに彼の有名な『大工の聖ヨセフ』は日本に巡回中です!ルーヴル美術館展は今京都でしょうか?お近くの方、是非観に行ってくださいね
といっても、高校の美術の先生が現代に「人生は無常なので信仰心を!」というメッセージを伝えたくて静物画を描かせる訳がないので(日本ですしね)、静物画はやっぱり絵の技術をはかるのにもってこいのジャンルなのです。
17世紀当時でも、教訓的メッセージはあるものの、モチーフの質感の描き分け、モチーフの配置の妙、色彩やボリューム感など美的価値観によって注文主から依頼が来たりしたのでした。
私たちもこういう作品を見るときに、単純に「うわ〜、本物のベロアみたい!」とか「おいしそうな果物!(よく見ると虫食いがあったりしますが)」とか「昔の人はこういう遊びをしてたんだー」と見たままに感じていいと思います。
でもこういう約束事を思い出すと、また別の視点からも鑑賞ができますよね。

今日は絵解きみたいなお話しになってしまいました。
ではまた来週!


住所   rue de Rivoli 75001(正式な住所はMusée du Louvre。メトロを出たらすぐわかると思います)
メトロ  1番線、7番線 Palais Royal-Musée du Louvre
開館時間 水曜日から月曜日 9時から18時(水曜日と金曜日は22時まで)
チケット 常設展とドラクロワ美術館 9ユーロ (水曜日と金曜日の18時から6ユーロ)
ナポレオンホールの企画展のみ 9.5ユーロ
常設展と企画展 13ユーロ (水曜日と金曜日の18時から11ユーロ)
毎月第1日曜日は入場無料
日本語公式サイト


[PR]
by paris_musee | 2009-08-17 00:00 | 有名ミュゼ
さすがは本場、充実のフランス絵画 パート3 ルーヴル美術館 リシュリュウ翼+シュリー翼2e(3階)

<17世紀 フランスのバロック=古典主義>
17世紀はヨーロッパ中でバロック旋風が吹き荒れた時代でした。
明暗対比に劇的な一瞬を、フツーの風景の中にとけ込ませるのが特徴です。

シモン・ヴーエというフランス人が帰国した1627年が、フランス絵画の転向の年と言われています。
すごいですね、生まれ故郷に戻って来ただけで、絵画史が変わってしまうんですよ。
彼はローマやヴェネツィアでカラヴァジスムを学んでいたんですが、ルイ13世に呼ばれて王の首席画家となります。
f0197072_23292642.jpg

『神殿への奉献』というこの作品は、ルイ13世の宰相リシュリューに頼まれてパリの教会に奉納された作品。
バロックまっただ中の時代の、カラヴァッジオに影響を受けた画家の作品です。
うーん、でもかなりカラフルで、背景の建物が水平線と垂直線を作っていて落ち着いた雰囲気をもたらしていますよね。
これがドラマチックなバロックと言われるとちょっと違う。
明るい色彩はヴェネツィアの作家の特徴とも言われていて、ヴーエもヴェネツィアにいたのでそれに影響されたのでしょう。
背景もギリシャ風の柱なんかがあって古代建築ですよね。
古代建築に遠近法、人間のプロポーションも理想的!
しいて言えば、イタリアの盛期ルネサンスみたいじゃないでしょうか。

そう、フランスは盛期ルネサンスを飛び越えてマニエリスムを取り入れてしまったので、こういう古典主義風な作風が新鮮だったんです。
17世紀のフランスはバロックというより盛期ルネサンスに近いのです。
でも前の時代に後戻りした、というわけではなく、バロックの別解釈で「古典主義」がクローズアップされたと言う方が正しいようです。
ルーヴルの解説パネル(かなーり専門的な解説をした日本語パネルがあるんですよ。私も勉強させていただいています)にも「古典主義」というカテゴリーが使われています。

では17世紀フランスの「古典主義」の代表作家をご紹介しましょう。
なにはなくとも、ニコラ・プッサン。
「フランスの」と言っておいて、彼は24歳のときにイタリアに行ったっきり、ルイ13世に呼ばれて滞在した2年間を除いて死ぬまでローマで過ごしていました。
彼もすごいですよね、ほとんどイタリア人になっちゃってるのに、忘れられるどころかフランス絵画の代表作家。

彼が得意としたテーマは古代の歴史や神話、旧約聖書などです。
やっぱりヴェネツィアの画家のティツィアーノやヴェロネーゼに影響を受けたので、明るい色使いです。
ルーヴルにはかなりプッサンの作品があるんですが、どれも黄色、青、赤のギリシャ風衣装で、古代建築が描かれています。
f0197072_23295472.jpg

私の好きな作品は『ソロモンの審判』
あるところに赤ちゃんが2人生まれます。でも1人はすぐに死んでしまいました。
2人の母親は、残った赤ちゃんの本当の母親は私だと言い張ります。
2人はソロモンの前に行って、本当の母親はどちらか決めてもらうことにしました。
ソロモンは刀を取り出し、赤ちゃんを2つに切り裂いて2人にわけようとします。
母親のひとりは、あの女にあげてもいいから赤ちゃんを殺さないで!と叫びます。
もうひとりは、殺してしまえ!と叫びます。
こうして本当の母親がわかった、という旧約聖書のお話。
左奥の男が、いままさに宙づりにした赤ちゃんを切り裂こうとしています。
左の女性がやめてと叫び、ぐったりとした赤ちゃんを抱いた右の女性は恐ろしい顔をしてやってしまえ!と怒鳴っている場面ですね。
ドラマチックな場面ですが、水平垂直の建築物を入れて落ち着いた構図にしています。

この先に円形のお部屋(展示室16)があって、4枚の作品が展示されています。
これもプッサンの『四季』という作品。死の1年前に描かれた最後の完成作品だそうです。
春夏秋冬を1枚ずつ描いているんですよ。
どれがどの季節かわかりますか?
f0197072_23302094.jpg

春は裸の男女が森の中にいる作品。アダムとイブの場面です。時間は早朝。
f0197072_23304072.jpg

夏はみんなが収穫をしている作品。ルツとボアズの場面(あまり有名ではないですが)。時間は太陽が真上から照りつける正午。
f0197072_2331166.jpg

秋は大きなブドウを運んでいる作品。カナンの葡萄の場面。夕暮れ時です。
f0197072_2331307.jpg

冬は洪水の作品。ノアの大洪水の場面で、黄昏時。
これらはリシュリューに依頼されて制作しましたが、球戯をして王に負けてしまったので、のちにルイ14世のコレクションになります。

このニコラ・プッサン、その後のアーティストにどのように見られていたのでしょうか。
「古典主義」の巨匠だったことをふまえると、
同時代のリュベンスやヴェネツィア派からは不人気、
18世紀のロココの画家ブーシェやフラゴナールからも支持されず、
19世紀の新古典主義のダヴィットやアングルからは絶大な人気でしたが、
ロマン主義の画家からの評価は低く(でもドラクロアは絶賛)、
19世紀末の印象派のセザンヌやドガのお手本となり、
20世紀にはピカソなどのキュビズムや抽象表現主義の画家にも人気でした。
プッサンとピカソの共通点なんてあまり思いつきませんが、こんな風に画家たちは過去の作品を参考にしたり反発したりして、自分たちの思想と混ぜながら新しい画風を作っていくんですね。

まだまだ先は長いのに、モタモタしてしまいました。
来週は「静物画の見方」についてお話ししたいと思います。


住所   rue de Rivoli 75001(正式な住所はMusée du Louvre。メトロを出たらすぐわかると思います)
メトロ  1番線、7番線 Palais Royal-Musée du Louvre
開館時間 水曜日から月曜日 9時から18時(水曜日と金曜日は22時まで)
チケット 常設展とドラクロワ美術館 9ユーロ (水曜日と金曜日の18時から6ユーロ)
ナポレオンホールの企画展のみ 9.5ユーロ
常設展と企画展 13ユーロ (水曜日と金曜日の18時から11ユーロ)
毎月第1日曜日は入場無料
日本語公式サイト


[PR]
by paris_musee | 2009-08-03 00:00 | 有名ミュゼ