パリにあるとっておきミュゼをご案内します
by paris_musee
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
カテゴリ
有名ミュゼ
お城ミュゼ
邸宅ミュゼ
テーマミュゼ
企画展
ミュゼ以外の歴史的建造物
その他
以前の記事
2010年 04月
2010年 03月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
検索
タグ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
<   2010年 01月 ( 3 )   > この月の画像一覧
ナンシー派のメッカを訪れる Nancy Musée de l'École de Nancy
f0197072_22451578.jpg

駅からスタニスラス広場へ向かう道にあるアール・ヌーヴォーな建物
どの地方都市もそうなのですが、TGVの駅は中心地から離れたところにあり、旧市街と呼ばれる大聖堂を中心とした歴史的建造物が多い場所はギュっと凝縮していて、1日もあればだいたいの見所は見れてしまうんです。
ナンシーのもうひとつの見所は、アール・ヌーヴォー。
町のあちこちにアール・ヌーヴォーな建築が見られますよ。
でも何といっても、「ナンシー”派”美術館」(広場にあるミュゼは「ナンシー美術館」です)を訪れていただきたいのです。
ロココなスタニスラス広場からまた駅に戻り、駅の裏の道を20分くらい歩かなければなりませんが、ここを見なければ本当にもったいない美術館です。
f0197072_2245307.jpg

町中にあって普通にナンシーの人たちが暮らすアパルトマンの玄関。40番地の数字もアール・ヌーヴォーしてます
19世紀末にアール・ヌーヴォーが誕生しますが、ナンシー派というのは、その中でもとりわけナンシー出身のグループを指します。
もともとロレーヌ公国の首都ナンシーは昔からガラス工芸に秀でていました。
19世紀末にナンシー出身のガラス職人エミール・ガレによって作られた、曇らせたり象眼を施したりしたガラス工芸品がパリ万国博覧会に出品、受賞すると、この神秘的なテクニックとデザインのナンシー派の工芸品が有名になりました。
のちにこのエミール・ガレを中心として「Ecole de Nancy」(日本語で「ナンシー派」)というグループが作られたんです。
折しもイギリスではラファエル前派など世紀末芸術が流行りつつあったところへ、彼らの作り出す神秘的で妖艶な作品が時代精神とマッチしたのですね。
f0197072_2246699.jpg

ナンシー派美術館の建物とお庭。内部の写真撮影はできませんでしたが、これでもか!!!というくらいのアール・ヌーヴォー三昧でした
このナンシー派美術館には、ガレやドーム兄弟、ルイ・マジョレルなどナンシー派のアーティストによる家具、工芸品がたくさん展示してあります。
邸宅を改造しているので、あたかも誰かの家に訪れているかのような感じがしますし、展示品も生活空間にあうようになっているので面白いですよ。
ベッドやベッドランプ、タンス、クローゼット、ダイニングテーブルetc...すべてにおいてアール・ヌーヴォー様式で統一されていて圧巻です。
お庭はさすがに一般的なガーデニングで整えられていてナンシー派っぽくないですが、広くてベンチでのんびりするのに最適ですよ。
(館内は写真撮影が禁止されていますので注意してくださいね)

アール・ヌーヴォーは広義に使われるフランスの世紀末趣味な美術と工芸品の運動ですが、ナンシー派はアール・ヌーヴォーの前身とも言ってよく、工芸品がメインの運動になります。
それまではお金持ちから注文を受けた高級家具職人のアトリエが、技巧をこらして作った家具や工芸品でしたが、ナンシー派はよりアート色の強い、デザイン性の高い作品なのです。
大げさに言ってしまえば、日常使いの工芸品をアートに高めた、またはアートに高めようと意識を持った作家によって作られた作品と言ってもいいかもしれません。
f0197072_22454546.jpg

駅のそばにあるFloというブラッスリー。店内装飾がアール・ヌーヴォーになっててとても雰囲気がいいですよ。お食事も高くなくておいしかったです
ナンシー派の中心人物エミール・ガレは日本でも大人気で、日本にかなりのコレクションがあるようです。
ご覧になった方も多いと思いますが、ガレの作品には植物の有機的な曲線が多用されたり、植物や昆虫などの神秘的な組み合わせなどが特徴です。リアルな自然表現でなく、デザインされた自然表現です。
実は当時ナンシーに留学中の現在の農林水産省の官僚と交流があったらしく、もともと植物学が大好きだったガレは、彼から日本の自然観などを学んだのかもしれません。
時代的には日本では明治維新が起きた前後で、大量の浮世絵が欧米に輸入されヨーロッパ人の心を奪い、パリ万国博覧会では実際に着物を着たちょんまげ姿の幕府の要員や芸者がやって来たので、ジャポニズム(日本趣味)がとても流行っていました。
そういった環境の中でガレが日本の浮世絵や屏風絵などに見られるようなデザイン性の高い自然表現に興味を持ったのも不思議ではありません。
それに、ロココの花開いた町で生まれ育った彼は、自然とロココの装飾に多用される植物紋様を作品に取り入れる素地ができていたのかもしれませんね。

ナンシーだけでなく、ヨーロッパ全土で同時多発的に世紀末趣味、日本趣味などが複雑に絡み合い世紀末芸術が生まれて行きます。
アール・ヌーヴォーもナンシー派とパリ派(という名前は特にありませんが)などさまざまなグループがまとめられた運動と見ていいかと思います。
次回はナンシー派以外のアール・ヌーヴォーの作品について見て行きたいと思います。

**来週は都合により更新をお休みさせていただきます**

ナンシー派美術館 Musée de l'Ecole de Nancy
住所:38 rue du Sergent Blandan 54000 Nancy
電話:03 83 40 14 86
開館時間:10:00-18:00
休館日:毎週月曜、火曜、祝日
入館料:6ユーロ(18歳まで4ユーロ)、毎月第一日曜日は無料

こちらはナンシー派のホームページ内のナンシー派美術館の紹介ページ
[PR]
by paris_musee | 2010-01-18 00:00 | その他
ロココとアール・ヌーボーな町ナンシー Nancy

何度もパリ旅行をしていると、数日をパリ以外の都市に滞在することがあると思います。
人気はやっぱり南仏で、ニース、カンヌ、アルルなど。
日帰りだったらなんといってもモン・サン・ミッシェルなどのブルターニュ・ノルマンディー地方でしょうか。
ワイン通の方はボルドーやブルゴーニュのシャトーやドメーヌ巡りに行くかもしれません。
クリスマス市で有名なアルザス地方もドイツ色が強く面白いです。
私はそんなにあちこち旅行をしたりしませんが、SNCFのサイトでTGVのチケットを買って3時間くらいの田園風景を車窓から楽しみながらフランスの地方都市に行くのは大好きです。
f0197072_22291444.jpg

ナンシーの真ん中にある大きな広場。噴水と彫刻と鉄柵と建物がロココな気分を盛り上げています。この広場の裏には緑豊かな大きな公園があって、お散歩するのに最適です
ずいぶん前の話になりますが、「ナンシーNancy」という都市に行ってきました。
ナンシーはドイツ国境近くのアルザスへ行く途中にある地方都市です。
ここを選んだ理由は、近くて、ロココとアール・ヌーヴォーの町であり、そしてここから発祥したと言われる食べ物など特産品が多いからです。
そんなに有名な観光地ではないのですが、世紀末芸術、ことにナンシー派ファンなら是非訪れたい、かわいらしい町ですよ。
今日はミュゼ案内ではなくて、ナンシー案内をしたいと思います。
f0197072_22252087.jpg

夜になるとライトアップされて、それもまたとっても綺麗です
町の真ん中にスタニスラス広場という豪華絢爛な鉄柵や装飾彫刻に囲まれた広場があります。
真ん中にいる彫像はもちろんスタニスラスさん。
ロシアとか東ヨーロッパっぽい名前からお察しの通り、彼は18世紀後半のポーランドの王様。
ポーランド国王でありながら、ここロレーヌ公国(ナンシーは首都)も統治していたのです。
そしてこの人物こそが、のちにルイ15世のお妃となるマリー・レグザンスカのお父さん。(注・ロココを大ブレイクさせたポンパドール夫人はルイ15世の「愛妾」です)
ルイ15世の時代の前半はバロックからロココへの移行期で、ここロレーヌ地方でも最先端のロココが流行っていました。
このロココ様式の装飾で飾られたスタニスラス広場はユネスコの世界遺産にも登録されています。
実はこの広場にマリー・アントワネットがヴェルサイユ宮殿へお輿入れをする際に宿泊したというホテルがあるのです。
現在も当時のままとはいきませんが普通に泊まれますし、レストランでお食事などもできるようです。
広場には夏になるとカフェのテラスがたくさん出て、優雅な気分でお茶できます。
f0197072_22254551.jpg

スタニスラス広場に面したナンシー美術館の地下展示室。アール・ヌーヴォーの作品がたくさん展示されています
観光局とミュゼ(ナンシー美術館)もこの広場にありますよ。
ナンシー美術館は15世紀くらいから現代までの美術作品が展示されています。
地下のナンシー出身の作家たちによるガラス工芸の展示室は圧巻。
とてもきれいで広い美術館なので是非足を運んでみてください。

f0197072_2227897.jpg

駅のすぐそばにあったお土産屋さんのディスプレイ。この日はやっていなかったんですが、翌日にベルガモットキャンディーなどたくさん買いました
やっぱり地方に行ったら「ご当地モノ」の食べ物を試してみたいですよね。
ナンシーで有名なのは、土地の名前もついている「キッシュ・ロレーヌ」、「ベルガモット・キャンディー」「ナンシーのマカロン」「ミラベル」でしょうか。
キッシュ・ロレーヌはフランスでオーソドックスなキッシュ。パリのパン屋さんでも売っていますよ。
サクサクのパイの上に生クリームがベースになったベーコン入りのフィリングを乗せて焼いた物で、もとはロレーヌ地方の郷土料理でした。
ベルガモット・キャンディーは柑橘の香りがする素朴なキャンディー。
小さい頃におばあちゃんからもらってなめたような、シンプルな飴にベルガモットの香りが鼻をくすぐるような、懐かしい味です。結構ハマります。
ナンシーのマカロンは、みなさんが知っているクリームが挟んであるマカロンとは違います。
シンプルなアーモンドペーストのマカロン生地を焼いただけ。表面にひび割れができているのが特徴です。
もとは修道院のシスターが作った素朴なお菓子だったんです。もしかしたらマカロンの元祖かも。
ミラベルはプラムのような黄金色をした果実。大きさは巨峰くらい。夏にロレーヌ地方で採れるんだそうです。
先日フランス食品市でミラベルの果実酒を試飲しました。梅酒のような感じですが、独特の芳香がして美味しかったです。
もしかしたらナンシーまで行かなくても、パリのボン・マルシェやギャラリー・ラファイエットの食品館で手に入るかもしれません。
機会があったら是非味わってみてくださいね。

いかがでしたか?
パリからTGVでたった1時間半の近場ですが、パリとは全然違う町並みが広がる、小さく可愛らしい町です。
来週はナンシーのもうひとつの見所をお伝えしたいと思います。

ナンシー美術館 Musée des Beaux-Arts de Nancy
住所:3 place Stanislas 54000 Nancy
電話:03 83 85 30 72
開館時間:10:00-18:00
休館日:毎週火曜、祝日
入館料:6ユーロ(25歳まで4ユーロ)、毎月第一日曜日は無料

ナンシー観光局
日本語ページがあって、ナンシーの見所をわかりやすく説明してくれています!
[PR]
by paris_musee | 2010-01-11 00:00 | その他
ギュスターヴ・モローが過ごした邸宅 ギュスターヴ・モロー美術館 Musée National Gustave Moreau
あけましておめでとうございます。
今年もまだまだたくさんあるパリのミュゼ情報を発信して行きたいと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。


f0197072_19581679.jpg

3階の天井の高い大アトリエ。向こうに見える螺旋階段をのぼって4階のアトリエに行きます
さて、引き続きモロー美術館です。
実は10年ほど前に観光客として母と訪れたことがありました。
当時は美術館巡りに一生懸命で、どんな辺鄙なところでも早朝から出かけては暗くなるまで美術館のハシゴをしたものでした。
インターネットが今ほど普及してなかった時代、ガイドブックに載っていないような美術館もどうにか調べて行きました。
今回再び訪れてみて、こんな行きづらいところによく行ったものだなーとちょっと感心してしまいました。

この美術館、12番線のSt GeorgeかTriniteから歩いて行くのですが、
場所的にはプランタンなどのデパートや、最近オープンしたユニクロなどのあるオペラの北側でありながら、とっても閑静なカルティエ(地区)です。
現在は学校や会社のオフィスなども多いですが、もともとここは19世紀の新興ブルジョワが好んで住んだ住宅街です。
la Rochefoucaud通りの14番地の建物はまるごとモロー家の邸宅だったようで、彼もまたお金持ちのご子息だったのでしょう。

19世紀の中ごろ、26歳のときに両親がこの建物を購入します。
その前はもうちょっと北のモンマルトルの丘のふもと、ピガールというカルティエにアトリエを借りていました。
パリに住む人は、気に入ったカルティエからなかなか離れないと言いますが、
モローもまた今で言う9区(オペラ裏からモンマルトルの丘のふもと)あたりがお気に入りだったんでしょうね。

このミュゼでは入り口の重い扉を開くと小さなミュージアムショップ兼チケット売り場があり、すぐに階段をのぼって2階にいきます。
現在は2階が住居部分、3階と4階がアトリエになっていますが、3階と4階をアトリエに改造したのは彼の亡くなる3年前なのです。
当時は4階の一部のみがアトリエで、他は両親の部屋や彼の部屋でした。
それを死後に美術館にして作品をまとめてみんなに見せたいということで、急遽大改造をしたのです。
どうりで作品を展示しているアトリエがとっても広いのに、住居部分が狭いんだなーと思った訳です。
しかも公開されているお部屋には家具が所狭しと並んでいます。
大アトリエ作るときに取り壊した両親の部屋などに置いてあった家具が、2階のお部屋にギュウギュウに並べてあるからなんですって。
f0197072_19533261.jpg

2階にのぼるとすぐに書斎があります。
2003年に公開されたということで、10年前に私が訪れたときは観ることができませんでした。
この部屋もまたモロー晩年の大改修のときに作られたそうです。
彼は友人、知人がやってくると、この部屋に迎え入れました。
ここに展示されているのは、彼が集めた貴重な本や、父が大切にしていた建築関係の蔵書、親子で収集したセラミックやブロンズ、石膏のオブジェなど。
紀元前にさかのぼるものもあるんですよ。
そして壁一面にはデッサンがたくさん掛けられています。
これはモローがルーヴル美術館やイタリアの各都市で模写したラファエッロ、ベラスケス、ヴァン・ダイクなどのデッサンや油彩、水彩などです。
配置もモローによるものだとか。
muséeの中のmuséeとも言えるお部屋なのです。
f0197072_19535153.jpg

小さな食堂です。
19世紀中ごろに購入したとされるルイ16世様式(新古典主義様式)の椅子や、モローのデッサンや他の画家の版画も壁に飾ってあります。
ちょっと豪華な壷や食器などはお父さんのコレクションでしょうか。
小さな食堂ですが、高価な家具や食器を取り揃えているのをみると、モロー家が19世紀のお金持ち、新興ブルジョワジーだったことがわかります。
現在のこの配置は残った写真を見て再現したのだそうです。
f0197072_19573542.jpg

スカイブルーのきれいな寝室ですが、ちょっとものが多すぎる印象があります。
それはさっき書いた通り、モローの母の居間にあった家具など、家族の思い出の品をアトリエ大改造のあとこちらに移動したからなのです。
母が寝室で使っていた机とモロー自身が使っていた家具が一緒に置かれています。
家族の肖像画や写真、デッサンが飾られていて、モローにとってここは家族の思い出の場所だったのかもしれません。
ちなみに女性の胸像がついている小さなベッド、花瓶の象眼が美しい棚などの家具は19世紀に流行ったナポレオン様式のものです。
ものがたくさんあってゴチャゴチャしがちですが、色や様式を統一したりすると意外としっくりきますね。
f0197072_19575679.jpg

寝室の奥にboudoirという小さなお部屋があります。
こちらも寝室と同じスカイブルーの壁紙に、引き出し、椅子、机、棚、や額縁や壁掛け時計、燭台、絵皿などが所狭しと飾られています。
モローは生涯独身でした。
けれど30年以上も仲良くしていたアレクサンドリンという「最良の唯一の友」がいました。
その彼女の思い出の品と両親の寝室にあった品を展示しているのがこちらのお部屋なのです。
モローの小さな作品もいくつか壁にかけられています。

いかがでしたか?
アトリエの大改造がなければもっと広々とした住居部分がみれたかもしれませんが、
モローには跡継ぎがいませんでしたので家を守ることよりも、画家として作品を守ることを決めたのでした。
この大改造とモローの作品整理のおかげで、彼の未完の作品やノートの切れ端に描いたようなデッサンなど、
大きな美術館で観ることができないような彼の軌跡も目にすることができるのです。
彼の使った家具がそのままになっているお部屋を巡ると、そのアーティストの考えたこと、見たこと、感じたことがわかるような気がしてくるのです。

このようなアーティストが暮らした家をミュゼにしているところがパリにはいくつかありますので、これから少しずつご紹介して行きますね。
それではまた来週。

今回の書斎と食堂の写真はMuséeの公式サイトからお借りしました。


ギュスターヴ・モロー美術館 Musée National Gustave Moreau
住所:14, rue de la Rochefoucaud
電話:0148 74 38 50
メトロ:12番線 Trinite または st-George
開館時間:10:00-12:45 昼休みをはさんで 14:00-17:15
休館日:火曜日
入場料:5euros (割引は3euros、18才以下と第一日曜日は無料)
美術館公式サイト
[PR]
by paris_musee | 2010-01-04 00:00 | 邸宅ミュゼ