パリにあるとっておきミュゼをご案内します
by paris_musee
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<印象派前の絵画は? オルセー美術館 Part3 Musée d'Orsay>


オルセー美術館はとにもかくにも「印象派」の作品がたくさんあってすばらしいのですが、1848年からの作品が展示されているので印象派前夜の作品も観なくては損!
実際にチケットを購入して館内に入ると、0階(地上階)の展示室は印象派以前の作品にあてられています。
中央の吹き抜けの通路は彫刻作品でいっぱいですが、両脇の展示室にはあっと驚く作品がさりげなーく展示されているのです。
では、簡単ですが一つ一つの展示室を観て行きましょう。

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アングルの『泉』
<展示室1>アングルとアングル派
アングルの作品はルーヴル美術館にもたくさんありますが、こちらでは『泉』(la source)が観られます。
デッサンを重視し、製作には写真を用いたりしていたほどなのですが、「本物そっくりに描いたものが絵画として美しいとは限らない」ということで本物からちょっとバランスを崩したり、デフォルメしたりして描くのが特徴です。

<展示室2>ドラクロワ
ドラクロワはロマン主義の画家。
アングルやダヴィット(ルーヴルに作品アリ)の知的で静かな新古典主義に反発して、ダイナミックで感情的な作品を描きました。
具体的にはモチーフを画面に対して斜めに配置したり、曲線や原色をつかったり、悲劇や異国情緒ただよう題材を描いたりします。
ドラクロワもルーヴル美術館に大作がたくさんありますので、そちらも是非観てみてください。

<展示室3> 1860~1880年
保守的なアカデミーがよしとする絵画と印象派(革新的な)絵画がちょうど交錯する時期です。
この展示室では、以前ご紹介したカバネルの『ヴィーナスの誕生』(la naissance de Vénus)を目の前で観てください。
彼はサロンの常連で、かなり影響力をもっていた画家ですが、この透き通るように白い肌をもち、目を半分閉じて恍惚の表情の女性はギリギリのところで上品さと神秘性を保っていて、美しいなあと思います。

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ドーミエの風刺彫刻。当時の政治家の顔がわかってたらもっと面白いでしょうね。
<展示室4> ドーミエ
この部屋にはドーミエの風刺版画、風刺彫刻、絵画があります。
19世紀は市民がどんどん力をつけていく時代ですが、まだまだ識字率は低く、新聞を読める人はあまりいませんでした。
でも難しい時事問題を風刺したイラストが入った新聞が大流行、ドーミエは風刺版画の仕事で成功します。
写真も新聞に使われていなかった当時の政治家や文化人の特徴をよくつかんだドーミエの鋭くユーモアのあるイラストはとても面白いですよ。
ちなみにフランスではいまだに風刺イラストの新聞が結構残っていて、メトロで読みふける人を見かけます。

<展示室5>バルビゾン派
以前ご紹介したフォンテーヌブローのお城の近くにバルビゾンという村があります。
ここで自然をモチーフにした絵を描いたミレー、コロー、ルソーなどの画家たちをバルビゾン派と呼んだりします。
コローの作品はルーヴル美術館にもたくさんあるのですが、旅行中に出会った普通の自然の風景を、奥深い森の中に現れる池や木漏れ日などどこか神話チックに描いているのがとても癒されます。
ちなみに日本初の「西洋画」はバルビゾン派でした。
現・東京芸術大学で明治時代に油画科が新設された時の教授が影響を受けていたからです。
黒田清輝なんかも間接的にバルビゾン派だったと言ったら大げさでしょうか。

<展示室6>オリエンタリズム
フランスの人はオリエンタル、エキゾチックなものが大好き。
パリなんかは特に、アフリカ、アラブ、アジアの文化がミックスされて今でもとても国際的です。
19世紀には政治的にも海外遠征などでアフリカやアラブ諸国のイメージが新鮮で興味深いものでした。
サハラ砂漠やアルジェリアなどの風景画がここに展示されています。

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ミレーの『晩鐘』です。農民の大地の豊穣に感謝と祈りを捧げる崇高な時間を描いています。
<セーヌギャラリー>
ミレーの『晩鐘』(l'Angélus)『落ち穂拾い』(Des glaneuses)、コロー、マネ『草上の昼食』(le déjeuner sur l'herbe)、モネ、ピサロ、シスレーの贅沢なオンパレードです。
小振りな作品が多いですが、見応えがあります。
ミレーの『種をまく人』は山梨県立美術館にも所蔵されているんですよ。
余談ですが『種をまく人』は岩波書店のシンボルマークにもなっています。

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クールベ『オルナンの埋葬』 と〜っても大きな作品です。老夫婦がずっとこの作品の前でなにやら話をしていました。フランスの老夫婦はおしゃれです。
<展示室7>クールベ
クールベの大きな作品が3つ展示してあります。
ここにある有名な『オルナンの埋葬』『画家のアトリエ』は、1855年のパリ万博に展示しようと応募するのですが却下されました。
歴史画のように大きく大げさな絵画ですが、アカデミーの決まり事を守っているとは言いがたかったからです。
仕方がないから展覧会場の横で彼は勝手に「クールベ展」を開催してしまうんですね。
これが史上初の個展だとも言われています。
『オルナンの埋葬』に見られるような白い絵の具のペタペタ感がちょっと新しい時代を呼びそうな予感がしませんか?

<展示室8>建築設計図
こちらの展示室は19世紀に次々と建てられた建造物のデッサンや設計図などを集めた部屋です。
オペラ座、シャンゼリゼ、グランパレ、オルセー駅、ルーヴル美術館など今でも見ることのできる建築計画が見れますよ。

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金ぴかの化粧台です。貴族の結婚祝いに作られたものとか。こんな鏡台でお化粧をしたら厚化粧になってしまいそう!?
<展示室9>19世紀の装飾美術
パリ万博などに出品されたり、貴族たちに頼まれたりして作られた飾り棚や化粧台、テーブルなどが展示されています。
ゴテゴテ、ピカピカのすごいものが多いのですが、その「すごい」技術を国内外にアピールしたのが19世紀の万博のテーマでもあるので納得です。

<展示室10>
私が訪れた日は展示変え中でした。いつもは何をやっているのでしょうか??

<展示室11>シャバンヌ
シャバンヌという人の不思議な雰囲気の絵画がたくさんあります。
ほわほわーっとしてて何とも形容しがたい作品ですが、筆遣いが荒っぽかったり、それはそれでこの時代には珍しそうな新しい作品です。

<展示室12>モローなど
ギュスターブ・モローも不思議な雰囲気の作品を描く作家です。
題材は神話などからとっているのですが、例えば登場人物の洋服の模様などが異様に細かく描かれたりしてびっくりします。
パリにはモローのアトリエを改造した美術館がありますが、こちらも雰囲気があってオススメです。
1週間以内でしたら、オルセーのチケットを見せれば入場料が割引になるそうです。

<展示室13>1870年以前
ドガの作品がたくさんあります。
バレエの練習をする少女たちを描いた作品で有名ですね。
印象派の作家たちとつるんではいたのですが、彼の興味は自然よりも人間でした。
生活感あふれる人間や、ポートレートが展示されています。
彼は住んでいたモンマルトルの墓地に眠っています。

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マネの『オランピア』 右端の暗闇に黒猫がいるんですよ。中央の女性がしているチョーカーはオルセーのミュージアムショップで売っています。
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こちらマネの『バルコニー』 彼が描く女性は黒髪で強い意志をもったまなざしをしている人が多いです。
<展示室14>マネ
私はマネが大好きです。
この展示室はそんなマネ好きにとって狂喜乱舞してしまうところ。
『オランピア』(Olympia)に『エミール・ゾラ』(Emile Zola)『笛を吹く少年』(Le fifre)『バルコニー』(Le balcon)といった大作がここに展示されています。
マネのお話はいつかまたあらためてしたいと思います。

<展示室15,16> クールベ
さきほどのクールベの小品があるのがここです。
16展示室の奥に飾られている『種の起源』(L'origine du monde)は是非観てください。
タイトルと、写実的であることにこだわったクールベの絵画にウンウン、とうなってしまう一品です。

<展示室17, 19, 20, 21>
展示変え中で閉鎖されていました。
普段は寄贈されたコレクションを見せているようです。

<展示室18>モネ
マネだのモネだの紛らわしいのですが、有名なマネの『草上の昼食』と同じタイトルの作品があります。
モネも光に取り憑かれてどんどんと抽象的な方向に行ってしまうのですが、ここにある作品はかなりデッサンのきちんとした作品たち。
描かれたブルジョワの楽しいピクニックの様子が伝わってきます。

<展示室22>ピサロ、シスレー
ピサロとシスレーの風景画を中心に集めた展示室です。
戸外で自然の光に包まれながら描いた彼らの作品は気持ち良さそうな空気が流れています。
ちょっと筆致が荒々しくなって来たけれど、晩年ほどではありません。
5階の「印象派」コーナーにも彼らの作品があるのでその違いを比べてみてください。

<展示室23>自然主義的風景画
印象派前夜なんですけれど、まだまだ「そっくりそのまま」の呪縛から抜け出せないのがこの0階の作品群。
こちらの展示室ももれなく、このままリアルに描くことはなんか違うと気づきながらもそこから進めないでいる作家たちのジレンマが見えるような気がします。


いかがでしたか?絵画だけのご紹介でしたが、展示室を番号順に巡ると画家たちがどのようにスタイルを変えて行ったのかがわかります。
デッサンが命、神話や歴史の物語重視、筆致を残さないツルツルの画面がいいとされていたのに、だんだんとデッサンが狂い始め、日常の出来事をモチーフにし始め、筆跡がわかるような荒々しい筆致になってきました。
まだ作品が何を描いたかは完全にわかりますよね。リアルです。
でも印象派の飛び抜けた「新しさ」は、この0階にある作品の「リアル」との葛藤の後に産まれたものと言っても過言ではありません。
なのでやっぱりこの階をざざーっと観てから5階の展示室を観ていただきたいと思います。

次回は0階の奥のちょっとしたコーナーについてお話しますね。
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by paris_musee | 2009-03-02 00:00 | 有名ミュゼ