パリにあるとっておきミュゼをご案内します
by paris_musee
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タグ:モルトフォンテーヌの思い出 ( 1 ) タグの人気記事
さすがは本場、充実のフランス絵画 パート10 ルーヴル美術館 リシュリュウ翼+シュリー翼2e(3階)
長らく放置してしまってすみませんでした。
急に忙しくなってしまい、「ミュゼのある暮らし」ができないでおりました。

さて、ルーヴル美術館、フランス絵画シリーズの最終回です。
前もお話ししたかと思いますが、ルーヴル美術館の担当は1848年まで。
1848年から1915年までは、セーヌ川を挟んだお向かいのオルセー美術館が担当することになっています。
実はその1848年をまたいで活躍している画家はどちらの美術館でもお目にかかることができたりします。

今回はそんなパリの二大美術館に展示されているジャン・バティスト・カミーユ・コローについてお話ししたいと思います。
印象派のピサロやルノワールは彼の影響を受けたと言われている画家です。

彼の作品、なんてことない風景画(失礼)に見えるんですが、私は大好きです。
ルーヴル美術館のフランス絵画展示室をえんえんと歩いて来て、歴代の偉大な画家の有名な作品を観てクタクタになった脳みそを癒してくれるような、そんな優しい作品なんです。

彼は裕福な家庭に生まれ、一度は家業を継ぎますが、どうしても画家になる夢をあきらめられず両親を説得して絵描きの道を歩みます。
新古典主義の歴史風景画家の先生に師事しつつ、フランス各地を回って風景の写生をしたりして画家としての力をメキメキとつけて行きます。
そして画家にとってあこがれの国でもあるイタリアへ3年間も留学する機会にも恵まれました。
ローマ、ナポリ、ヴェネツィア、美しい町を巡りながらたくさんの風景画を描きます。
旅で訪れたのどかな田園風景を閉じ込めた『〜の思い出』というタイトルの作品がいっぱいあります。
f0197072_18565965.jpg

モルトフォンテーヌというのは、パリ郊外のシャンティイ城のそばにある美しい村です。

まずはこちら。私が好きな『モルトフォンテーヌの思い出』
去年、上野や神戸でやったルーヴル美術館展にも展示されていたようですので、ご覧になった方もいらっしゃるかと思います。
当時もサロンに出品して大好評を博し、ナポレオン3世が買い上げたという作品。
どうですか?
これぞ「癒し系絵画」と言ってもいいくらい(表現が軽々しくてごめんなさい)、夢のような美しい風景が自分の目の前に広がる、そんなホっとする作品だと私は思います。
湖のほとりを描いたこの画面の3分の2を占める右の大きな木。
葉のつき方や枝っぷりも立派なのですが、背景の空気に溶けて行っちゃいそうな優しく儚い葉っぱの描き方がとてもポエティックです。
自然の雄大さとか威圧感が、これだけ大きく画面に収まっているのにみじんも感じない。
ひっそりとたたずみ、時折葉を揺らしてさわやかな風を知らせる優しい自然なのです。
よ〜く見るとちょっと雑な筆致なんですが、そのかすれ具合がうまい具合に淡い光や霧を表現していて、水墨画みたいな幽玄な雰囲気を出しているんですよね。
私たちは(多分)モルトフォンテーヌの景色を知りませんが、「思い出」というタイトルがつくことによって、個々の中にあるヨーロッパの田園風景のイメージが、あたかも行ったことがあるかのような個人体験として蘇ってくるような気がするんです。

f0197072_18572665.jpg

ああ、都会の喧噪を離れてこんなところでのんびりしたい!とプチ逃避行するのにうってつけの絵画だと思います。
次は『ティヴォリのヴィラ・デステの庭園』
ローマの近くにあるティボリに位置するヴィラ・デステ。
文化を愛したイタリア貴族の家系であるエステ家が所有する広大な庭園で、現在ユネスコに登録されているそうです。
たくさんの水の芸術があることで有名。
コローもきっとここの美しい噴水をたくさん見たと思うのですが、この作品はヴィラ・デステから町、遠くの山を臨む景色が描かれています。
近景から遠景まで暖かい光に包まれて浮かび上がるのどかな景色。
中央にはラフな格好をした少年がぽつんとひとり腰掛けています。
人物も木々も家々も遠くの山も柔らかい光を浴びて気持ち良さそうです。

この作品にも特徴的ですが、私が好きなのはコローが使うクリーム色。
絵の具の質感も感じるようなペタっとしたクリーム色が、なぜか温かく柔らかい風景画の中でリアリティを感じさせるよな気がするんです。
コローの作品は決して写実的にホンモノと同じように描かれてる訳ではないし、本来なら絵の具のペタっと感は「これはあくまで絵画です!」と現実に引き戻されるはずなのに、彼のクリーム色のおかげでこの風景画を風景として感じられるように思うんです。
個人的な感想かもしれないんですが、もしコローを間近で観る機会があったら是非クリーム色に注目してみてほしいです!

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風景画のコローですが、もちろん他のジャンルも描いています。
有名なのは『真珠の女』
これもまたクリーム色が使われていますね!
この女の人、ルーヴルにいる有名人にどことなく似ていると思いませんか?
そう、レオナルド・ダ・ヴィンチの『モナリザ』です。
腕を組んでやや斜めからこちらを向くポーズはそのままモナリザの構図ですよね。
よく言われる『モナリザ』の神秘的な微笑みではないですが、こちらの女性もまたちょっと寂しそうな表情の奥に、柔らかさや気品が感じられます。
コローがあえて『モナリザ』の別解釈として描いたのか、それともただ単に構図を拝借しただけなのかはわかりませんが、彼が死ぬまで大事に持っていたというエピソードまでレオナルド・ダ・ヴィンチの『モナリザ』に重なります。
ちなみにおでこに光る一粒の点が真珠に見えることから『真珠の女』という名前がついていますが、本当は木の冠です。

他にも、ルーヴル美術館のフランス絵画の最後のお部屋にはたっくさんコローの作品があります。
アントレから始まり、メインディッシュ、チーズ、デザートと続いて、お腹がいっぱいになった後のコーヒータイムのように、ここで怒濤のフランス絵画を締めくくるのにちょうどいい作品だと思います。
フランス絵画は胃にもたれますので、コーヒータイムではあまり脳みそを働かせずにのんびりと鑑賞するのがオススメです。

長かったルーヴル美術館フランス絵画も今日でおしまいです。
おつきあいいただきありがとうございました。
これからも『ミュゼのある暮らし』を心がけて、またいろいろな美術館をご紹介して行きたいと思います。

*今回の画像はルーヴル美術館ホームページ、Wikipediaよりお借りしました。


住所   rue de Rivoli 75001(正式な住所はMusée du Louvre。メトロを出たらすぐわかると思います)
メトロ  1番線、7番線 Palais Royal-Musée du Louvre
開館時間 水曜日から月曜日 9時から18時(水曜日と金曜日は22時まで)
チケット 常設展とドラクロワ美術館 9ユーロ (水曜日と金曜日の18時から6ユーロ)
ナポレオンホールの企画展のみ 9.5ユーロ
常設展と企画展 13ユーロ (水曜日と金曜日の18時から11ユーロ)
毎月第1日曜日は入場無料
日本語公式サイト


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by paris_musee | 2009-11-30 00:00 | 有名ミュゼ