パリにあるとっておきミュゼをご案内します
by paris_musee
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ロココとアール・ヌーボーな町ナンシー Nancy

何度もパリ旅行をしていると、数日をパリ以外の都市に滞在することがあると思います。
人気はやっぱり南仏で、ニース、カンヌ、アルルなど。
日帰りだったらなんといってもモン・サン・ミッシェルなどのブルターニュ・ノルマンディー地方でしょうか。
ワイン通の方はボルドーやブルゴーニュのシャトーやドメーヌ巡りに行くかもしれません。
クリスマス市で有名なアルザス地方もドイツ色が強く面白いです。
私はそんなにあちこち旅行をしたりしませんが、SNCFのサイトでTGVのチケットを買って3時間くらいの田園風景を車窓から楽しみながらフランスの地方都市に行くのは大好きです。
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ナンシーの真ん中にある大きな広場。噴水と彫刻と鉄柵と建物がロココな気分を盛り上げています。この広場の裏には緑豊かな大きな公園があって、お散歩するのに最適です
ずいぶん前の話になりますが、「ナンシーNancy」という都市に行ってきました。
ナンシーはドイツ国境近くのアルザスへ行く途中にある地方都市です。
ここを選んだ理由は、近くて、ロココとアール・ヌーヴォーの町であり、そしてここから発祥したと言われる食べ物など特産品が多いからです。
そんなに有名な観光地ではないのですが、世紀末芸術、ことにナンシー派ファンなら是非訪れたい、かわいらしい町ですよ。
今日はミュゼ案内ではなくて、ナンシー案内をしたいと思います。
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夜になるとライトアップされて、それもまたとっても綺麗です
町の真ん中にスタニスラス広場という豪華絢爛な鉄柵や装飾彫刻に囲まれた広場があります。
真ん中にいる彫像はもちろんスタニスラスさん。
ロシアとか東ヨーロッパっぽい名前からお察しの通り、彼は18世紀後半のポーランドの王様。
ポーランド国王でありながら、ここロレーヌ公国(ナンシーは首都)も統治していたのです。
そしてこの人物こそが、のちにルイ15世のお妃となるマリー・レグザンスカのお父さん。(注・ロココを大ブレイクさせたポンパドール夫人はルイ15世の「愛妾」です)
ルイ15世の時代の前半はバロックからロココへの移行期で、ここロレーヌ地方でも最先端のロココが流行っていました。
このロココ様式の装飾で飾られたスタニスラス広場はユネスコの世界遺産にも登録されています。
実はこの広場にマリー・アントワネットがヴェルサイユ宮殿へお輿入れをする際に宿泊したというホテルがあるのです。
現在も当時のままとはいきませんが普通に泊まれますし、レストランでお食事などもできるようです。
広場には夏になるとカフェのテラスがたくさん出て、優雅な気分でお茶できます。
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スタニスラス広場に面したナンシー美術館の地下展示室。アール・ヌーヴォーの作品がたくさん展示されています
観光局とミュゼ(ナンシー美術館)もこの広場にありますよ。
ナンシー美術館は15世紀くらいから現代までの美術作品が展示されています。
地下のナンシー出身の作家たちによるガラス工芸の展示室は圧巻。
とてもきれいで広い美術館なので是非足を運んでみてください。

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駅のすぐそばにあったお土産屋さんのディスプレイ。この日はやっていなかったんですが、翌日にベルガモットキャンディーなどたくさん買いました
やっぱり地方に行ったら「ご当地モノ」の食べ物を試してみたいですよね。
ナンシーで有名なのは、土地の名前もついている「キッシュ・ロレーヌ」、「ベルガモット・キャンディー」「ナンシーのマカロン」「ミラベル」でしょうか。
キッシュ・ロレーヌはフランスでオーソドックスなキッシュ。パリのパン屋さんでも売っていますよ。
サクサクのパイの上に生クリームがベースになったベーコン入りのフィリングを乗せて焼いた物で、もとはロレーヌ地方の郷土料理でした。
ベルガモット・キャンディーは柑橘の香りがする素朴なキャンディー。
小さい頃におばあちゃんからもらってなめたような、シンプルな飴にベルガモットの香りが鼻をくすぐるような、懐かしい味です。結構ハマります。
ナンシーのマカロンは、みなさんが知っているクリームが挟んであるマカロンとは違います。
シンプルなアーモンドペーストのマカロン生地を焼いただけ。表面にひび割れができているのが特徴です。
もとは修道院のシスターが作った素朴なお菓子だったんです。もしかしたらマカロンの元祖かも。
ミラベルはプラムのような黄金色をした果実。大きさは巨峰くらい。夏にロレーヌ地方で採れるんだそうです。
先日フランス食品市でミラベルの果実酒を試飲しました。梅酒のような感じですが、独特の芳香がして美味しかったです。
もしかしたらナンシーまで行かなくても、パリのボン・マルシェやギャラリー・ラファイエットの食品館で手に入るかもしれません。
機会があったら是非味わってみてくださいね。

いかがでしたか?
パリからTGVでたった1時間半の近場ですが、パリとは全然違う町並みが広がる、小さく可愛らしい町です。
来週はナンシーのもうひとつの見所をお伝えしたいと思います。

ナンシー美術館 Musée des Beaux-Arts de Nancy
住所:3 place Stanislas 54000 Nancy
電話:03 83 85 30 72
開館時間:10:00-18:00
休館日:毎週火曜、祝日
入館料:6ユーロ(25歳まで4ユーロ)、毎月第一日曜日は無料

ナンシー観光局
日本語ページがあって、ナンシーの見所をわかりやすく説明してくれています!
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by paris_musee | 2010-01-11 00:00 | その他
<誤解されるマリー? musée des arts décoratifs>

今日はちょっと細かい様式のお話しになります。

日本でもっとも有名なフランスのお姫様と言えば、マリー・アントワネットですよね。
ソフィア・コッポラの映画『マリー・アントワネット』でも、おしゃれが好きでエピキュリアンなティーンエイジャーとして描かれていました。
そんな浪費家のイメージが強いせいか、マリー・アントワネット=ロココの王妃という印象がありますが、厳密にいうとロココ時代とマリーの生きていた時代はちょっとズレがあります。

ロココは1730年代、好色家のルイ15世の愛人だったポンパドゥール夫人が好んだ、曲線とアシンメトリーを多用した軽妙洒脱なデコラティブなスタイルです。
ルイ14世が愛した荘重なバロック様式が男性的だったのに対し、ロココ様式は女性的でちょっと享楽的な雰囲気がありました。
例えば机や椅子の脚がクルリと丸くなっているのが猫脚と呼ばれる、ロココの特徴のひとつであったりします。
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ロココは椅子の脚だけじゃなく全体的に丸みを帯びています。

ではマリー・アントワネットの愛したスタイルは何と呼ばれるのか。ルイ16世様式とか新古典主義とか言われます。
1775年あたりから、ポンパドゥール夫人が好んだロココはちょっぴり時代遅れとなり、華奢だけれど直線や幾何学模様を多用したスタイルをマリー・アントワネットは好みました。
ポンパドゥール夫人の死後与えられたプチトリアノン宮殿(ヴェルサイユ宮殿の離れです。ここも最近改装工事が済んでリニューアルされました)では、流行遅れでダサいロココの家具を全部一掃してマリー好みの新古典主義に大幅改装されたほどです。
ギリシャ、ローマの古典をモチーフにし、猫脚はだんだん姿を消して、ギリシャ建築の柱を思わせる溝の入った円柱が家具の脚に多用されました。
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こちらの脚は直線的で先が細くなっており、縦に溝が入っています。

装飾美術館の階段を上がると4階はロココ時代のかわいらしくも華美な装飾のソファやコモードの展示室になります。
そして次の部屋にマリーの時代の家具が展示されています。
この2つの部屋を比べると、後者は本当に質素にうつります。
それが、浪費家でフランス王宮を破滅させたと言われているマリーが愛した様式であるのが皮肉ですよね。
実際にはポンパドゥール夫人の時代にはフランス経済はすでに破綻していて、不幸にもマリー・アントワネットとルイ16世が全ての責任をとった、というところでしょうか。
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ちょっと極端な対比ですが、ゴテゴテしてるのがロココ時代の家具、スッキリしているのがルイ16世時代の家具。

ちなみに、いろいろな本を読むと、ちまたの悪いイメージとは裏腹に潔く竹を割ったような性格のマリーが描かれているものが多いのに気づきます。
ルイ16世に寵愛を持たせなかったこと、7年の長きに渡って子供ができなかったこと(このストレスで浪費に走ったと見るむきもあります)もあり母となってからは浪費はピタっとやめて子育てに専念したこと、そして息子虐待の濡れ衣を着せられた最後の裁判での母としての勇ましい姿など、今までのイメージを覆す逸話がたくさんでてくるのです。

こういう話をあわせて華美な装飾のないシンプルな新古典主義の部屋を見ると、誤解の多いマリー・アントワネットの本当の姿が目に浮かんで来るかもしれません。
私も自分が暮らすのならロココよりルイ16世様式の方がシンプルで好きかな。
というわけで、これからはマリー・アントワネット=新古典主義でお願いします。


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by paris_musee | 2008-10-27 00:00 | テーマミュゼ