パリにあるとっておきミュゼをご案内します
by paris_musee
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<印象派の殿堂 オルセー美術館 Part 2 Musée d'Orsay>
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前回紹介できませんでしたが、オルセー最上階の時計のクローズアップ。パリとオルレアン間を結んでいたことが刻まれていますね。

日本で一番人気の画家って誰なんでしょうか。
ゴッホ?ゴーギャン?セザンヌ?ルノワール?マネ?モネ?ドガ?
ここに挙げた画家の名前を聞いてピンと来る人はかなり多いと思います。
日本人にとって、これら印象派の画家はとても身近なものではないでしょうか。
理由はいろいろあると思うのですが、やっぱりルネサンスや17世紀、18世紀の絵画よりも、「作品を観るために必要な基礎知識」といったキリスト教の世界観、近世の政治史などなくても観られる気軽さがウケているのだと思います。
日本に育った以上、特別な理由がなければ『最後の晩餐』の登場人物やエピソード知っていたり、宮廷画家が描く王一家が誰なのかわかる人は少ないですものね。

日本でも上野の森やそこかしこでゴッホやセザンヌ、モネなどの作品を観る機会は結構あるのですが、もしパリで印象派の作品をみたいならば絶対に「オルセー美術館」を外すことはできません!
右を見ても左を見ても印象派だらけ、一級品の作品に囲まれて嬉しい悲鳴をあげてしまうようなところです。
でもやはり貴重な作品ばかりで、観たい作品が貸し出し中になっていることも多いので運を天に任せましょう。
それでも十分な量の作品と向き合えるので絶対に損はしません!

来週、この美術館の中でとりわけチェックしたい作品をご紹介しますが、今回は「印象派」全般のマメ知識をお話ししたいと思います。
まず、印象派は19世紀後半にフランスでおこった芸術のムーブメントです。(音楽などでも印象派と呼ばれるものがありますが、ここでは美術のみお話しします)
そして覚えておきたいのが、当時支配していた「**でなければいけない」という決まり事への反発です。
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こちらカバネルの『ヴィーナスの誕生』という作品。アカデミー常連の彼の描く作品は採点基準をクリア!生身の人間以上に完璧なデッサン、裸体だけどヴィーナスなのでよし、上品さが貴族好みなどなど。
19世紀前半まで、絵画にはいろいろな決まり事がありました。
「そっくりに描かなければいけない」「歴史的事実を描くといい絵と言われる」「エロチックな裸体は描いてはいけない(裸体を描く時は宗教や神話の登場人物とする)」「貴族やブルジョワ趣味の絵がすばらしい」などなど。
そしてその「いい絵」であることを決める団体が美術アカデミーでした。
この団体が毎年サロンと呼ばれる展覧会を開き、そこに展示できる選ばれた作品がちまたで評価されたのです。
サロンへ出展できることが若手画家のキャリアの第一歩であり、さらに一番すばらしい絵を描いた画家にはローマ修行旅行の特典がありました。
ところが、とにかくそっくりに描くことや、いろいろな決まり事を守った作品ばかりが選ばれるのですから、画家の方も知恵をつけて選ばれるための作品しか描かなくなって行きました。
新しい技法、面白いモチーフを描いた自由で生き生きとした作品は評価されなかったので、描くだけムダでした。
大げさですが、アカデミーは保守化してみんなおんなじ、どれもこれもやっつけ仕事のつまらない展覧会になってしまうのです。

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こちらはマネの『草上の昼食』 アカデミー的にダメだった減点ポイントは、その辺にいる女性の裸体=下品、よくあるピクニックの風景に裸体=低俗、色の塗り方が平面的で本物っぽくない=ヘタクソ。
印象派の父なんて呼ばれているエドゥワール・マネの代表作『草上の昼食』は、アカデミーによって下品でへたくそと判断され落選します。
森の中の裸体表現は過去にもたくさんあったのに、マネの裸体が神話や宗教上の登場人物ではなく、生々しい普通の女性というので却下されたのですね。
そしてマネの特徴でもあるのですが、奥行き感のない、ペッタリした2次元的な感じの塗り方が「ヘタ」の烙印を押されてしまったのです。
当時の絵は、陰影がついててあたかも本物がそこにあるような遠近感のある写実的な絵が主流でした。

この絵は、そのとき落選した他の作品とともに落選展という展覧会に出品されました。
目的は「ほら、この人たちの作品はサロンに落選しても仕方がないダメな作品ですよね」と念を押すためで、実際美術批評家をはじめ観客は「そうだ、そうだ」と嘲笑したのだそうです。
でも、一部の人は「まてよ、これは新しい時代の絵画を牽引するような鋭い視点を持っている!」と評価しました。

こうした既成概念を打破するような新しい作品への支持が次第に高まり、アカデミーの保守化した体制への反発も強まり、いよいよ印象派の画家たちが自由に作品を描いてもいいという土台が作られるのです。

ちなみに、19世紀後半に写真技術が発表されたことも、印象派の登場に一役買っています。
というのも一瞬のうちに現実の世界をそっくりそのまま写し取ることが可能だとわかったので、何日もかけてそっくりそのまま描く写実的な絵画への必要性もなくなっていったからです。

マネのスキャンダラスな作品のおかげで、19世紀後半から絵画の(アカデミーの)既成概念を無視したこだわりの絵画を描く若手画家が急増し、印象派と呼ばれるほどのムーブメントが起きた、というわけです。

今の視点から印象派の作品観るとその革新性が霞んでしまうのですが、写真も一般的ではなかった当時の人の気持ちになって観てみると「まあ、こんなモチーフを絵画に!?」とか「ちょっと、こんなブツブツができた肌なんてあり得ないわ!」とか「この荒々しい筆遣いが邪魔だ!」なんて思うかもしれません。
眉を潜めてしまうようなことが、だんだんと印象派の新しさ、生き生きとした作品として評価されて行ったのです。
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by paris_musee | 2009-02-23 00:00 | 有名ミュゼ
<昔は駅でした オルセー美術館 Musée d'Orsay>
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2003年頃に撮ったオルセー美術館の外観。この頃は正面入り口が工事中で、側面の入り口から入場でした。長い美術館です。画面左の大きな時計の裏に素敵なカフェテリアが。

パリに来たからには是非行きたい美術館、ルーヴルに次いで人気なのはオルセー美術館ですよね。
場所もルーヴル美術館とセーヌ川をまたいでお向かいさんにあり、昔母と観光でパリに来ていた時は頑張ってハシゴしたりしていました。
一応このふたつの美術館には役割分担がありまして、1848年以前がルーヴル、以降がオルセー(さらに1914年の第一次大戦以降はポンピドウセンター内の国立近代美術館)と時代分けがされています。
オルセーが担当しているのは「印象派」の時代のド真ん中でして、印象派が大好きな日本人に大人気なのもうなずけます。

ちょっと意外だったのは、オルセー美術館の開館が1986年であること。
建物もパリの古い町並みにしっくりととけ込んで貫禄すら感じてしまうのに、私よりも若いとは!!
どういう事情なのかと調査してみると、なるほど納得、使われなくなった駅舎をそのままミュゼに改造したからなのです。
駅舎としての歴史はパリ万国博覧会が開催された1900年。
エッフェル塔ができ万国博覧会で華やぐパリを一目見たいと、フランス各地、近隣諸国からの旅行者が集まるんです。
人が集まるからには交通手段ということで、パリのど真ん中に到着するオルセー駅をつくったというわけです。
オルレアン方面からやってくる人々を一気に受け入れた大きな駅舎は当時流行っていたアールヌーボー調の装飾と彫刻を施した大円天井が特徴で、豪華なステーションホテルが併設されていた時期もありました。
万博のためにオーステルリッツ駅(これは今でも現役)から延長してわざわざ建設したのですが、1939年には駅は廃止され、ホテルだけが残りました。
1973年に歴史的建造物に指定された頃から、ミュゼにしよう!なんて声もあがり86年にオルセー美術館がオープンとなりました。
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オーヴェル・シュル・オワーズに行って、ゴッホの軌跡を歩いてみました。これは当地の教会。
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上の教会をゴッホが描くとこうなります。実物はオルセー美術館で観てください!
さきほども言いましたが、オルセーといえばやっぱり印象派。
狙ったのかどうかはわかりませんが、駅舎の空間で見る印象派の作品が非常にマッチしているんですよね。
というのも、印象派が活躍した時期は、鉄道が発達した時期とかぶります。
パリを見に地方から人々が集まってくる一方で、パリから郊外へ行くピクニックもさかんになります。
レジャー、日帰り旅行の誕生です。
印象派の画家たちも画材道具、デッサン用具を片手にパリの駅から郊外へスケッチ旅行に出かけます。
例えば、今も昔と変わらずパリの北西に向かう列車を受け入れるサンラザール駅。この駅舎やホームも数多くの画家に描かれました。
サンラザール駅から印象派の作品の舞台になった場所へ日帰り旅行ができます。
ゴッホの終焉の地オーヴェル・シュル・オワーズや、モネが住んだアルジャントゥイユやジヴェルニーも1,2時間ほど。
当時のパリ郊外の緑多いほのぼのとした景色を描いた印象派の作品をオルセー美術館で観ると、不思議と「こんな駅舎から出発したんだなー」とイメージが湧いてくるのです。

オルセー美術館、印象派の絵画だけでなく、19世紀後半の華々しい文化が咲き誇った時代の装飾美術、彫刻、写真、建築、グラフィックなども観ることができます。ルーヴル美術館よりも小さく(それでも大きいです!)、19世紀の内装を再現したクラシカルで素敵なレストラン(お昼は16.5ユーロのコースあり)や最上階の大時計からパリを望めるカフェテリアもオススメなので、時間があったら是非行ってみてください。

オルセー美術館
住所 1, rue de la Légion d'Honneur, 75007 Paris
開館時間 9:30-18:00(木曜日のみ夜間営業 21:45まで)
閉館日 月曜日
行き方 RER C線 Musee d'Orsay駅下車すぐ
チケット 8ユーロ(5,5ユーロ 30歳未満、木曜日以外の16:15以降、木曜日の18:00以降)18歳未満は無料
     オルセー美術館とロダン美術館の割引入場券 12ユーロ(同日入場のこと)
     入場後8日以内にオルセー美術館のチケットを見せれば、ギュスターヴ・モロー美術館とオペラ座の見学コースのチケットが割引料金になるそうです。


*ちょっと更新が遅くなってしまってごめんなさい。
取材に行く時間がなくて写真不足です...。
来週こそは新しい写真をアップしたいと思います。
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by paris_musee | 2009-02-09 00:00 | 有名ミュゼ