パリにあるとっておきミュゼをご案内します
by paris_musee
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さすがは本場、充実のフランス絵画 パート8 ルーヴル美術館ドゥノン翼の1er étage(日本式2階)

時間がなくて写真を撮りに行くことがいまだにできないのですが、お待たせしてばかりなのでルーヴル美術館の続きを書くことにします。
写真はwikipedia franceよりお借りしています。
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このデッサンが、ジャック・ルイ・ダヴィッドによって描かれた処刑場に向かう最後のマリー・アントワネットの肖像画です。
前回のルーヴル美術館の回では、ルイ16世とマリー・アントワネットの治世が新古典主義だったとお伝えしました。
が、ご存知の通り彼らはギロチンにかけられて処刑されてしまいます。
マリー・アントワネットが処刑される日、おんぼろの荷台に乗せられてコンコルド広場まで連行される様子をカフェのテラスでスケッチした人物がいるんです。
それが今日お話しする新古典主義の代表画家、ジャック・ルイ・ダヴィッド。

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新古典主義絵画の特徴をまんべんなくちりばめた彼の代表作です
ルイ16世が彼に初めて注文して作らせた作品が『ホラティウス兄弟の誓い』。
これはかなり好評で、ちょっと画家デビューの遅かった彼を一気に有名にした作品です。
モチーフとなったお話はローマ時代のもので、決着のつかない国同士の争いにピリオドをつけるため、ホラティウス家の3人の兄弟が父に「国をかけて果敢に戦います!」と宣言する場面です。
不穏な空気が漂うフランスに、愛国心と忠誠心を誓うというモチーフで作品を描かせたのですね。

この作品、とっても新古典主義のにおいがプンプンします。
まずローマ時代の歴史的な話がモチーフになっていて、マジメな話です。
室内装飾はスッキリしていて、登場人物の衣服も原色が多い。
カッチリと画面を安定させる技が隠れています。数字の3、三角形、直線。
ローマ時代のアーチ型建築が3つに分かれているので、私たちは自然と真ん中にいるお父さんに目がいきます。
足の形がつくる三角形も、剣と誓いの手と足を結んだ三角形もあります。
でもあんまりカチカチすると不自然なので、右側に3人の悲しみにくれる女性が柔らかい曲線を描いてメリハリをつけています。

新古典主義の作品は、ギリシャローマのマジメな話や当時のシンプルな衣装、建築装飾、そして水平や垂直線、三角形、3という数字をちりばめているのが特徴です。
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これとほぼ同じものがヴェルサイユ宮殿にもあります
ダヴィッドは血なまぐさいフランス革命に参加したんですが、ブルボン王朝が倒れたあとに君臨したナポレオンに重用され、首席画家となります。
このお部屋であっと驚く大きさの作品が『皇帝ナポレオン1世と皇后ジョセフィーヌの戴冠式』6m x 9mちょっとあるそうです。
1804年にパリのノートル・ダム寺院で実際に行われたセレモニーを描いた大作です。
登場人物も本物に似せて描いたため、ナポレオンは出席者を言い当てて楽しんだそうですよ。
中央で王妃に冠をかぶせているのがナポレオン。ひざまづいているのがジョセフィーヌ王妃。
中央上部で座っているのがナポレオンの母親、画面左の男性はナポレオンの兄弟、女性たちは彼の姉妹、右側は大臣などがいます。
ナポレオンの後に座っているのが教皇、そしてダヴィッドと奥さんも自身もちゃっかりお母さんの座っている左後ろあたりに描き込まれています。
ちなみにナポレオンのお母さんはこの式には参加してなかったのですが、やはり母からの祝福があった方が格好がいい、ということで特別出演しています。

さて、こちらもやっぱり新古典主義の作品なので、特徴を見て行きましょうか。
柱が3つあり、ちょうどその真ん中にナポレオンがいますね。
人々や室内装飾もちゃんと垂直方向の直線を形作っています、ひな壇や階段は水平線ですよね。
ひざまづいたジョセフィーヌの体が三角形を作っています。
衣装もエンパイヤ様式といって、ちょっとギリシャ風(当時流行っていたようです)になっています。
色も赤や紺、金といったハッキリした色です。
これだけ人物が多くてゴチャゴチャしそうな空間ですが、とっても荘厳な張りつめた空気が感じられる威厳のある作品になっています。

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レカミエ夫人が着ているギリシャ風の洋服をアンピール様式って言ったりします。ナポレオン帝国(=エンペラー)の様式ということですね
もうひとつ、私が好きなのがレカミエ夫人という実在の人物を描いた作品。
彼女は銀行家のご夫人で、当時の芸術家や有識者を集めたサロンを開いていた有名なマダムです。
この作品、ギリシャ風の衣装をつけた夫人が、長椅子にくつろいで座っているというだけのシンプルなもの。
でもランプの垂直線や長椅子の水平線、ちょっとその緊張を解くように垂れる衣服のひだが絶妙です。
人物画にしては大きなキャンバスは、本当なら歴史画を描くために用意されたサイズなのだそうです。
きっと新古典主義の大家であるダヴィッドは、ここにレカミエ夫人を歴史の1ページとして、理想的な女性美として描いた、と考えるのは行き過ぎでしょうか。
実はレカミエ夫人が気に入らなかったのか、この作品は未完成のままなのだそうです。
ちなみにルーヴル美術館の美術工芸コーナーには、このレカミエ夫人が実際に使っていたベッドや家具が展示されているんですよ。
彼女のものではありませんが、この作品で描かれているのと同じ長椅子もすぐとなりに展示されています。

来週はこのお隣の部屋、ロマン主義の大作をご紹介して行きたいと思います。


住所   rue de Rivoli 75001(正式な住所はMusée du Louvre。メトロを出たらすぐわかると思います)
メトロ  1番線、7番線 Palais Royal-Musée du Louvre
開館時間 水曜日から月曜日 9時から18時(水曜日と金曜日は22時まで)
チケット 常設展とドラクロワ美術館 9ユーロ (水曜日と金曜日の18時から6ユーロ)
ナポレオンホールの企画展のみ 9.5ユーロ
常設展と企画展 13ユーロ (水曜日と金曜日の18時から11ユーロ)
毎月第1日曜日は入場無料
日本語公式サイト


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by paris_musee | 2009-10-12 00:00 | 有名ミュゼ
20世紀の18世紀風邸宅!? ニッシム・ド・カモンド美術館 Musée Nissim de Camondo

パリも晴れと雨を繰り返しながら、どんどん夏に近づいて来ています。
そんな晴天の昼下がり、お散歩がてら優雅な邸宅美術館に行ってきました。
この界隈は今も昔もお金持ちが住むところ。
この邸宅もド・カモンド家の持ち物で、趣味のいい豪華な家具で埋め尽くされた素敵なおうちです。
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モンソー通りに面した門をくぐると、その奥に邸宅があります 通りに面していないゆったりとした設計がいかにも貴族の邸宅らしい
ユダヤ人だったド・カモンド家は19世紀、オスマン帝国のコンスタンチノープルでもっとも成功した銀行家のひとつでした。
仕事でパリにちょくちょく訪れるので、当時お金持ちしか住めない高級住宅地、モンソー公園周辺にあるこの家を購入しました。
1911年息子のモイズがここを相続すると、第2帝政時代のきらびやかな様式を嫌い、建築家に頼んで新古典主義様式のシンプルな邸宅に改装します。
建物の外装がどこかに似ているなーと思ったんですが、彼がモデルとしたのはマリー・アントワネットの別宅、プチ・トリアノン。
内部の壁の装飾、集められた家具や装飾品などもマリー・アントワネットの趣味と同じ。
よく見ると、彼女が重用した家具職人や画家などの作品ばかりです。
20年以上をかけて、最高級の18世紀家具を収集したんだそう。
モイズは19世紀後半から20世紀前半を生きた人物ながら、18世紀の様式を好んだのでした。
18世紀の家具装飾品がこれほどまで集められて一般公開されているの美術館もなかなかありません。
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これは建物中央に位置し、小さなフランス式庭園とモンソー公園がのぞめるサロン。自然をモチーフにした7枚のhuetの絵を飾るために、このような円形の設計にしたとか
ちなみに、19世紀にお金持ちの間で18世紀の様式が大流行りします。
ナポレオン3世の王妃までマリー・アントワネットは趣味がいい!と賞賛するので、流行に拍車がかかりました。
みんなこぞって新古典主義様式の家具を買いあさり、市場ではどんどん高値がつきました。
が、にわか愛好家はすぐに飽きてしまい、みんなオークションで売り払ってしまいます。
本当に18世紀工芸美術が大好きだったモイズは、安くなったこれら家具を熱心に集めました。
流行にちょっと遅れて収集したので、いいものが安価にたくさん手に入れることができたようです。

このモイズさん、すばらしい居室に家族とともに住み、仕事は順風満帆、パリでの知名度も上り調子でした。
しかし、のちに奥さんが他の男性のもとに行ってしまい、さらには一人息子のニッシムまでも戦争で帰らぬ人となりました。
もうひとりの娘は嫁いでしまい、ド・カモンド家を継ぐ人はいませんでいした。
手塩にかけて育てたニッシムの死を悼み、邸宅にあるこれらすべての家具装飾品を「ニッシム・ド・カモンド美術館」として寄贈すると遺言状に残して1935年にモイズは亡くなりました。
そして翌年、1936年に遺言状通り、ニッシム・ド・カモンド美術館は彼らが暮らしていた当時の姿のまま美術館として一般公開されています。
残念ながら一人娘のベアトリスもご主人もその子供もアウシュビッツ収容所で亡くなり、ド・カモンド家の血筋は途絶えてしまいました。

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玄関を入ると大理石のダミエ模様の床が目を引く玄関ホールが これもプチ・トリアノンっぽい
この美術館の入場料は現在6ユーロ。
オーディオガイドを無料で貸し出してくれて、日本語で解説を聞くことができます。
収蔵品の豪華さやみどころの多さを考えると、とってもお得です。
とはいっても、よーく見学しても1時間半くらいで見終わるでしょうか。
ちょっと見学をして、帰りに「裏庭」であるモンソー公園の芝生で一休みするのもいいですよ。

それでは次回は、もうちょっと展示室の作品をご紹介していきたいと思います。
マリー・アントワネットの続きは再来週お送りします。

Musée Nissim de Camondo公式サイト (英語)

63 rue de Monceau 75008
メトロ 2番線 MonceauまたはVillier
閉館日 月曜日、火曜日
開館時間 10時から17時30分まで
入場料 6ユーロ(日本語のオーディオガイド込み)

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by paris_musee | 2009-06-22 00:00 | 邸宅ミュゼ