パリにあるとっておきミュゼをご案内します
by paris_musee
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さすがは本場、充実のフランス絵画 パート7 ルーヴル美術館 リシュリュウ翼+シュリー翼2e(3階)
美術史なんかを年代順に見て行くとき、いっつも前の時代の**主義を否定するような新しい**主義というのが生まれるんです。
古代ギリシャローマ→中世キリスト教芸術→イタリアルネサンス→バロック→ロココ→新古典主義→ロマン主義...
ここまでの変遷がルーヴル美術館で見ることができるんですよ!

そしてそれ以降はパリならオルセー美術館、ポンピドウーセンター、パリ市近代美術館などでご覧頂けます。
ルーヴル美術館以降の19世紀や20世紀はこの**主義の新旧入れ替わりが激しくて、
やたらと**主義**イズムということばが先走って頭がこんがらがってしまいます。
でもとりあえずロマン主義くらいまでは**主義の特徴をつかんでおくと、
同じように見える古い絵のひとつひとつが際立って見えて来るかもしれません。

さて今日は終盤の新古典主義について見て行きたいと思います。
ネオクラシシズムと言ったりもします。

ダイナミックで明暗対比が激しいバロック絵画(フランスでは「古典主義」)が流行遅れになると、
情緒的で牧歌的な繊細優美のロココ絵画が流行りました。
ではそんなロココ絵画に反発した新古典主義はどんなものだったでしょうか?

かなり語弊があるのを承知で分類しますと(左がロココ→右が新古典主義)、
女性的→男性的
ファンタジック→歴史的
ふわふわ→カッチリ
享楽的→理性的
パステルカラー→原色使い

単純化してしまうとバロックの特徴に似ていなくもない...。
でもロココの反対なのですが、バロックに後戻りしてしまうのではなくて、また違う方向転換をするんです。
その理由のひとつが、18世紀前半にイタリアのポンペイで遺跡が発掘されたこと。
火山で一瞬のうちに失ってしまった古代ローマ遺跡が、当時の面影を残したまま発掘されたのです。
当時のヨーロッパ人は古代ローマに熱狂しまくり、美術批評家が古代ギリシャ絶賛の批評を発表しました。
バロックがお手本にしたのは「古代ギリシャローマを模倣した盛期ルネサンスの影響を受けたイタリア人画家」でしたが、
新古典主義がお手本にしたのはそのままの「古代ギリシャローマ」だったんです。
では具体的に見て行きましょう。
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廃墟趣味のユベール・ロベール。日本では彼の存在はあまり知られていないようですが、いろんな美術館で彼の作品を見かけます。多作だったのと、フランスではかなり有名な画家なのでしょう
ユベール・ロベールは廃墟ばっかり描いています。
ポンペイ遺跡の発掘によって、ヨーロッパのインテリたちは考古学をたしなむようになったので、
ユベール・ロベールの作品がウケた理由もわかるような気がします。
ここにあるのはフランスのプロヴァンス地方に残っている(今もあります!)古代遺跡。
ニームにある古代ローマ風寺院のMaison Carréとか世界遺産にも登録されている水道橋Pont du Gardです。
ルーヴル美術館が廃墟になったら?と想像して描いた作品もありますよ。
この人を新古典主義の画家!と断言することはできないのですが、当時の時代精神を後世に伝える画家として有名です。
パリではカルナヴァレ美術館やジャック・マール・アンドレ美術館などにも収蔵されています。
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プチトリアノンにある肖像画。彼女の欠点だった高慢ちきな唇が程よく隠されていると言われています
この新古典主義の時代の為政者はルイ16世とマリー・アントワネットでした。
浪費家の王妃の印象が強いせいで、マリー・アントワネット=ロココと間違えて流布していることがありますが、
実際にはデコデコしてきらびやかなロココを嫌い、スッキリとした新古典主義を好みました。
ただ、絵画にはあんまり興味がなかったらしく、家具などの美術工芸は発展しましたが彼女に寵愛された画家はとくにいなかったようです。
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こんな風に可愛らしく描いてもらえるなら嬉しいですよね
でも、唯一エリザベス・ルイーズ・ヴィジェ・ルブランという女流画家の描く肖像画がうまくかけているので大好きだったそうです。
ヴェルサイユ宮殿のプチトリアノンに飾られているマリー・アントワネットの肖像画は彼女によるもの。
そしてルーヴルにある作品は彼女(マダムヴィジェ・ルブランとあります)の自画像。一緒に写っているのは彼女の娘さん。
ふたりともとても愛らしく優しい表情をしています。王妃が好んだのも納得。

さて、新古典主義と言ってこの画家を挙げないわけにはいきません。
フランス絵画史上かなりな有名人、そしてルーヴル美術館でも目玉作品を描いたジャック・ルイ・ダヴィッドです。
今までご紹介して来たリシュリュウ翼とシュリー翼の2e étage(日本式3階)にはダヴィッドとその弟子の部屋があるものの、特筆すべき作品はドゥノン翼の1er étage(日本式2階)にフランスの新古典主義の大作を集めた部屋に展示されています。

勝手ながら来週は更新をお休みさせていただきます。
再来週は新古典主義の巨匠、ダヴィッドの大作をいくつかご紹介しますね。




住所   rue de Rivoli 75001(正式な住所はMusée du Louvre。メトロを出たらすぐわかると思います)
メトロ  1番線、7番線 Palais Royal-Musée du Louvre
開館時間 水曜日から月曜日 9時から18時(水曜日と金曜日は22時まで)
チケット 常設展とドラクロワ美術館 9ユーロ (水曜日と金曜日の18時から6ユーロ)
ナポレオンホールの企画展のみ 9.5ユーロ
常設展と企画展 13ユーロ (水曜日と金曜日の18時から11ユーロ)
毎月第1日曜日は入場無料
日本語公式サイト


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by paris_musee | 2009-09-07 00:00 | 有名ミュゼ
<誤解されるマリー? musée des arts décoratifs>

今日はちょっと細かい様式のお話しになります。

日本でもっとも有名なフランスのお姫様と言えば、マリー・アントワネットですよね。
ソフィア・コッポラの映画『マリー・アントワネット』でも、おしゃれが好きでエピキュリアンなティーンエイジャーとして描かれていました。
そんな浪費家のイメージが強いせいか、マリー・アントワネット=ロココの王妃という印象がありますが、厳密にいうとロココ時代とマリーの生きていた時代はちょっとズレがあります。

ロココは1730年代、好色家のルイ15世の愛人だったポンパドゥール夫人が好んだ、曲線とアシンメトリーを多用した軽妙洒脱なデコラティブなスタイルです。
ルイ14世が愛した荘重なバロック様式が男性的だったのに対し、ロココ様式は女性的でちょっと享楽的な雰囲気がありました。
例えば机や椅子の脚がクルリと丸くなっているのが猫脚と呼ばれる、ロココの特徴のひとつであったりします。
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ロココは椅子の脚だけじゃなく全体的に丸みを帯びています。

ではマリー・アントワネットの愛したスタイルは何と呼ばれるのか。ルイ16世様式とか新古典主義とか言われます。
1775年あたりから、ポンパドゥール夫人が好んだロココはちょっぴり時代遅れとなり、華奢だけれど直線や幾何学模様を多用したスタイルをマリー・アントワネットは好みました。
ポンパドゥール夫人の死後与えられたプチトリアノン宮殿(ヴェルサイユ宮殿の離れです。ここも最近改装工事が済んでリニューアルされました)では、流行遅れでダサいロココの家具を全部一掃してマリー好みの新古典主義に大幅改装されたほどです。
ギリシャ、ローマの古典をモチーフにし、猫脚はだんだん姿を消して、ギリシャ建築の柱を思わせる溝の入った円柱が家具の脚に多用されました。
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こちらの脚は直線的で先が細くなっており、縦に溝が入っています。

装飾美術館の階段を上がると4階はロココ時代のかわいらしくも華美な装飾のソファやコモードの展示室になります。
そして次の部屋にマリーの時代の家具が展示されています。
この2つの部屋を比べると、後者は本当に質素にうつります。
それが、浪費家でフランス王宮を破滅させたと言われているマリーが愛した様式であるのが皮肉ですよね。
実際にはポンパドゥール夫人の時代にはフランス経済はすでに破綻していて、不幸にもマリー・アントワネットとルイ16世が全ての責任をとった、というところでしょうか。
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ちょっと極端な対比ですが、ゴテゴテしてるのがロココ時代の家具、スッキリしているのがルイ16世時代の家具。

ちなみに、いろいろな本を読むと、ちまたの悪いイメージとは裏腹に潔く竹を割ったような性格のマリーが描かれているものが多いのに気づきます。
ルイ16世に寵愛を持たせなかったこと、7年の長きに渡って子供ができなかったこと(このストレスで浪費に走ったと見るむきもあります)もあり母となってからは浪費はピタっとやめて子育てに専念したこと、そして息子虐待の濡れ衣を着せられた最後の裁判での母としての勇ましい姿など、今までのイメージを覆す逸話がたくさんでてくるのです。

こういう話をあわせて華美な装飾のないシンプルな新古典主義の部屋を見ると、誤解の多いマリー・アントワネットの本当の姿が目に浮かんで来るかもしれません。
私も自分が暮らすのならロココよりルイ16世様式の方がシンプルで好きかな。
というわけで、これからはマリー・アントワネット=新古典主義でお願いします。


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by paris_musee | 2008-10-27 00:00 | テーマミュゼ